生憎(あいにく)
ビジネスの場において、「生憎ですが」といった形でこの言葉が使われているのを見聞きした方はいらっしゃると思います。同じ漢字文字二つで似たような意味を表すと「残念」といった意味を持つ、主にビジネスの場などで用いられる言葉です。
今回はそんな「生憎」という言葉について、深く掘り下げていきたいと思います。
生憎の意味とは
「生憎」という言葉は、何か頼まれたことがあった場合などにおいて、折り合いが悪い、都合が悪い、具合が悪い。そういったそれに応えられない、できないような状況の際にその申し訳ない気持ちを丁寧に伝えるために用いられるような言葉となっております。
「お生憎さま」といった表現をすると皮肉を意味する言葉にも変化するため、少し注意が必要な言葉にもなっています。
生憎の由来
この「生憎」という言葉。これは当て字として生まれた造語であり、本来は「ああ、憎らしい」という意味の言葉が派生してこのような意味を持つものとなったと一説では考えられています。
本来、これは「あやにく」という呼び方だったものが近世より後に「あいにく」というような発音に変化していきました。
生憎の「生(あや)」は「あら」、「ああ」といった感動詞を表す言葉となっており、「憎(にく)」という部分は形容詞である「憎し(にくし)」という言葉が元となっているとされています。
生憎の文章・例文
例文1.生憎の雨だ。
例文2.うーん今日は生憎、会いに来た人は外出中か。
例文3.生憎ですが、その日は佐藤が外出しております。
例文4.すみません。生憎、名刺を切らしていました。
例文5.お生憎さま。私から逃げようったってそうはいかない。
生憎は「残念ながら」「残念だけど」といった言葉に置き換えてみることで使いやすくなる言葉かもしれませんね。
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生憎の会話例
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今日は生憎の雨模様ですね。
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鈴木さん、雨嫌いなんですか?
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え?坂町さんは雨好きなんですか?
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雨、好きなんです。不思議ですか?
生憎という言葉はシンプルに「生憎の天気だ」「生憎の雨だ」といった使われ方もよくある言葉となっています。
生憎の類義語
生憎の類義語としては、「間が悪い(まがわるい)」や「気の毒(きのどく)」などの言葉が挙げられます。
生憎まとめ
「生きる」に「憎しみ」と書いて「生憎」。こう見てみるとまるですさまじい怨念に満ち溢れたような意味に感じる言葉かもしれませんが、実はその逆、むしろ人への思いやりの表現として用いられる言葉なのですね。
ただ、何も知らない人がこの「生憎」という字を見たらやっぱりおどろおどろしさの方を感じるような気がするので、人を思いやるのであればせめて「愛憎」といった当て字をすればよかったのに、と、あなたもそう思いませんか?生憎、この言葉はそういう字面ではないんですよね。