畑に蛤(はたけにはまぐり)
「畑に蛤」とは「畑で蛤を探す事から、見当違いや不可能な事の喩え」です。大変滑稽な諺ですが、不思議と違和感もなくスッと納得するので、昔の人のワードセンスは巧みだと改めて実感しますよね。海産物なら「畑にしじみ」「畑に松葉ガニ」とかでもいいのでしょうが、やはり「畑に蛤」が秀逸だと思います。それでは「畑に蛤」の解説となります。
畑に蛤の意味とは
「畑に蛤」の意味は以下の通りとなります。
(1)大きな見当違い。的外れな事をしている。
(2)畑を掘って蛤を探す事から、見当違いをする喩え。
(3)全く不可能な事をしている喩え。
(4)「畑に蛤掘ってもない」も同義。
”畑”は「農耕地」「専門とする領域」「母親の腹」、”蛤”は「マルスダレガイ科の二枚貝」「食用の貝の一種」で、どんなに畑を掘っても蛤を探す事はできないので、そこから、見当違いや不可能の喩えが「畑に蛤」です。例えば、まったく話が噛み合っていない齟齬であったり間違いを認められないなどで、これらを拡大解釈すると屁理屈を言う、馬鹿げた行動や態度、ナンセンスなども「畑に蛤」に含まれてしまいます。しかし、あまり風呂敷を広げずに、推測や判断や方向の誤りを「畑に蛤」とする程度が無難と言えるでしょう。使い方としては、「畑に蛤、」「畑に蛤と言うが…」「畑に蛤をした」といった形があります。
畑に蛤の由来
「畑に蛤」の由来は江戸時代の国語辞典「俚言集覧」となります。
畑に蛤の文章・例文
例文1.畑に蛤、しがない地方在住の弱小リーマンなのに推理小説を読み耽り一端の小説家や評論家気取りで、あれこれと難癖を付けてブログを書いていた過去が恥ずかしい。
例文2.偽ロレックスをはめて場末のキャバクラで金持ちなフリをすれば、若いキャバ嬢がものになると浅はかに思っていたが、それこそ畑に蛤で最近の子はしっかりしているので金持ちを巧みに見分けられる。
例文3.政府のやる事なす事は畑に蛤だらけだが、それは平和ボケした日本の醍醐味で高齢者にとっては不満を抱くほど今度こそはと応援し、選挙では必ず票を入れて一生忠義を尽くす。
例文4.シャ〇を打てば逮捕されるが時間経過で陰性なら問題なしで、ワクチン打って倒れるのはコロナ陽性よりマシで、変異株は調べるほど増えるが以前の株は無かった事にして、どれもこれも畑に蛤と言えば常識を疑われる。
例文5.会議で課長が畑に蛤となる事例をあれこれ説明するが、誰もまったく耳を貸さないので、この時間こそ的外れで仕事に戻った方が全員の為だ。
見当違いなどで「畑に蛤」を使った例文です。
- [adsmiddle_left]
- [adsmiddle_right]
畑に蛤の会話例
-
やっぱり引っ越しをしないか? 俺達はアウトドアが好きだろ。だから田舎の広大な土地でのんびり暮らそうよ。
-
あなたの考え、それは畑に蛤よ。私を全然理解していない。
-
え、どうして?
-
私は東京在住で地方に行きたいの。週末だけキャンプやアウトドアをする生活に酔っていて、家族で移住して田舎に住むなんて耐えられない。
夫婦共にキャンプが趣味だが、本質の部分では真逆という内容です。
畑に蛤の類義語
「畑に蛤」の類義語には、「木に縁りて魚を求む」「百年河清を俟つ」「氷を叩いて火を求む」「水を煎りて氷を作る」などの言葉が挙げられます。
畑に蛤の対義語
「畑に蛤」の対義語は厳密にはありませんが、強いて挙げるなら「可能」「望みあり」「出来る」などの言葉となります。
畑に蛤まとめ
「畑に蛤」は畑で蛤を探す事から、見当違いや不可能という意味です。絶対に出来ない事をしているので、その無意味な行動や考えなどの表現として使われます。「木に縁りて魚を求む」など類語が多い事でも知られていますが、短い文章ながらも本質を捉えているので「畑に蛤」が最も重宝されています。