相対的貧困(そうたいてきひんこん)
相対的貧困とは、聞いたこともあるかと思いますが、社会的な課題として我が国に限らず世界的に、人類として考えていくべき課題とされています。今日は相対的貧困の意味や、使われ方についてわかりやすく解説していきます。
相対的貧困の意味とは
「相対的貧困」とは、「貧困」の定義のうちの一つですが、代表的なものに「絶対的貧困」と「相対的貧困」があります。前者の「絶対的貧困」とは、食べ物がない、衣服がない、住居がないなど人間が暮らしていく生きていく上で必要最低限の生存条件が整っていない状態のことです。これに対して「相対的貧困」とは、ほかのみんなと比べると貧困ということです。その家族の収入金額が、その家族が暮らす国の全世帯の収入金額の中間値の半分以下の場合を「相対的貧困」とされています。つまりほかのみんなができていることができない、持っているものが買えないなど、生命の危機にあるわけではありませんが、生活する上で社会的に困難な状態にある状態です。具体的には、子供で言えば修学旅行に行けない、給食費が払えない、指定の運動靴などがボロボロなどいじめの原因にもなるようなことが挙げられます。
相対的貧困の由来
日本は先進国の中で貧困率が高いといわれています。2017年の調査ではOECD(経済協力開発機構)加盟国34カ国中7番目に貧困率が高いという結果が出ています。また厚生労働省による2015年の調査では日本の相対的貧困率は15.6%であり約6人に1人が貧困という結果がでています。1980年代の調査では貧困率は12%程度でしたので、年々貧困率が上昇していることが分かります。
相対的貧困の文章・例文
例文1.日本の相対的貧困は高い
例文2.相対的貧困の状況を見過ごすことはできない
例文3.OECDが相対的貧困率の調査をしている
例文4.絶対的貧困だけでなく相対的貧困も問題である
例文5.子どもの貧困問題は相対的貧困の問題である
絶対的貧困は主に後進国で問題となりますが、相対的貧困は先進国で問題となります。国の現在の経済レベルにおいて生活している人の置かれている状況は異なりますので、しっかりと覚えておきましょう。
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相対的貧困の会話例
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ここのところ家計が厳しい…なんでだ?
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最近、給食費の不払いなどで所得格差に問題があることが露呈してきましたね。
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相対的貧困において6人に1人が貧困となっているから、本当に深刻になってきたんだな。
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なにか対策しないといけないわ。
給食費不払い問題などの問題を抱えている昨今の日本では、相対的貧困が深刻化しています。
相対的貧困の類義語
貧困の定義にはほかにもあり、もっとも一般的な定義としては世界銀行の「1日1.25ドル未満で暮らす人の比率」(国際貧困ライン)があります。また 国連開発計画(UNDP)では、貧困を「教育・仕事・食料・保健医療・飲料水・住居・エネルギーなど最も基本的な物・サービスを手に入れられない状態のこと」と定義しています。長寿で健康な生活(出生時平均余命)、知識(成人識字率と初等・中等・高等教育の総就学率)、人間らしい生活(1人当たりの国内総生産)の3つの分野から算出する「人間開発指数(HumanDevelopment Index)」という人間開発の達成度を図る指標も作られています。
相対的貧困まとめ
貧困というのは単純にお金がある、ないという経済的な側面だけでなく人間が社会で人間らしく暮らしていく上で必要とするサービス、たとえば教育や医療がきちんと受けられる状態にあるかどうかなどを含めて多角的に考えていかなくてはならないものと考えられています。その中で相対的貧困という考え方は、先進国に共通する問題ですが、我が国日本においても格差の拡大や教育機会の喪失などによる貧困の連鎖などは、この相対的貧困問題と密接に関連していると考えられています。
外務省のHPにOECDが定期的に発表している報告書のリンクがありますので、この機会にぜひみてみましょう。
OECDのデータを見る|外務省