社会的スティグマ(しゃかいてきすてぃぐま)
「社会的スティグマ」とは「社会という集団が持つ特定の人達への偏見や差別による不名誉な烙印」です。自分はイジメなどをした事がないと主張しても、特定の外国人に対して恐怖感を抱いたりネガティブな印象を持つのは心理的な「社会的スティグマ」とも言えてしまいますよね。これは何も対象が外国人だけではなく、性的マイノリティや病気の人など所謂普通である自分と違うなら何でも該当します。自分達とは違うマイノリティへ思わず距離感を取るなどマイナス感情を抱けば、それが大勢にも波及して「社会的スティグマ」が増大する恐れへと懸念されます。
この記事の目次
社会的スティグマの意味とは
「社会的スティグマ」の意味は以下の通りとなります。
(1)英語表記「social stigma」の直訳「社会的不名誉」「社会的な不の烙印」から、集団社会が持つ少数派への偏見や差別の事。
(2)偏見や差別の対象となりやすい文化・人種・ジェンダー・知能・健康・障害・社会階級・生活様式の人々に対して、多数派である社会が押し付ける不名誉な烙印や汚名の事。
”社会的”は「社会に関係する様」「社会性がある様」、”スティグマ”は英語表記「stigma」から「恥辱」「汚名」「烙印」で、社会からの不名誉や社会から受ける差別が「社会的スティグマ」です。この言葉は近年、たとえばLGBTQやSDGsに医療業界などから大きく問題視されていて、要するに一般の大多数と異なるという理由だけで差別や偏見の対象になっていると訴えています。本来は人と違うのは個性なはずなのに、それはいつしか偏見というネガティブな目で見られるようになり、極端な例だと心が病んでしまうなどに発展するのです。これは何にでも当て嵌まり、コロナ禍の初期などは陽性者は隔離が徹底され拒否すれば村八分、マスク拒否でも同様の事態になりました。今になって振り返ればあそこまでするほどの極悪人なのかと思うでしょうが、時に社会とは偏った正義に走り不名誉な烙印を都合よく少数派に押しつける危険な存在なのです。だからこそ、些細な事でも「社会的スティグマ」をしないような環境づくりを目指すべきなのです。その為にはまず「太っているから〜」「糖尿病だから〜」「外国人だから〜」「同性愛者だから〜」「髪の色が違うから〜」といったレッテル貼りや決め付けを止めるだけでも、社会が少しはマシになって心を痛む人が減っていきます。
社会的スティグマの由来
「社会的スティグマ」はカナダの社会学者・アーヴィング・ゴッフマン氏が社会学の観察法(ドラマツルギー)として、1959年に発表した著書「日常生活における自己呈示」で提唱したものです。ゴッフマン氏によると「スティグマ」とは、「ある特性が恥ずべき特性として、個人が社会の一員として受けるべき尊敬が否定され、社会が受け入れない状態」となります。また、「スティグマ」の語源としてはギリシア語の奴隷・犯罪者・反逆者につける烙印で、それが段々と時間経過で少数派への厳しい圧力や偏見という意味を帯びるようになります。
社会的スティグマの文章・例文
例文1.世の中は表面上は社会的スティグマを無くそうと声を上げるが、その実態はいつまで経っても不平等がまかり通って全く改善されず嫌気が差す。
例文2.そもそも社会的スティグマの申し子のような存在が社会を動かしているのだから、それは偏見やレッテル貼りが無くなるはずがない。
例文3.汚染水を放出する政府を非難するアジア各国に嫌悪感を抱く愛国精神たっぷりな上流保守層と、それよりも生活苦こそが最大関心事な下級クラスが共存するのは無理があり、時々急に人類平等や平和を訴えられても社会的スティグマは胸の奥で膨らみ続け憂さ晴らしで自分よりも下を見下さないと精神が保てない世の中になってしまった。
例文4.この社会構造が差別を助長しているのに、一方では社会的スティグマを無くそうと勝ち組の上流階級が空の上から下界に暮らす庶民に向かってメッセージを送っても、誰も白けて聞く耳を持たないとなぜ分からないのだろう。
例文5.もし、本気で社会的スティグマをゼロにしたいなら日本の制度そのものを抜本的に変える必要があるが、決定権を握る者が絶対に拒否するので永遠に社会的スティグマは燻り続け村社会特有の妬みや差別と妥協しながら静かに目立たないように暮らし続けるしかない。
「社会的スティグマ」を使った例文となります。
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社会的スティグマの会話例
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子供の頃、転向が多くて嫌だったなー。俺太っていたから、それだけでも新しい学校で目立つのに。
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転向って私も経験あるけど、絶対に嫌だよね。クラスに溶け込むのも時間必要だし。
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そうそう。今でいう社会的スティグマの標的対象なんだよ。何も新しい事がない田舎の日常に、突如太った異物が混入されると、子供たちは大はしゃぎするじゃない。好奇な目で他のクラスの生徒もやってくるし。
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社会的スティグマって、社会生活を送っている以上絶対につきまとうよね。もう、じっと我慢するしかない。
幼少期の転校に対する苦い思い出を語り合っています。
社会的スティグマの類義語
「社会的スティグマ」の類義語には「負の印」「名折れ」「悪名」「悪評」「不評判」「風評」「不公平」「軽蔑」「性差別」「人種差別」などの言葉が挙げられます。
社会的スティグマの対義語
「社会的スティグマ」の対義語には「アンチスティグマ」「尊敬」「栄誉」「名誉」「敬意」「敬い」「憧れ」などの言葉が挙げられます。
社会的スティグマまとめ
社会による特定の人達に向けた偏見や差別が「社会的スティグマ」です。その対象は実に様々で病気で苦しむ人から性的マイノリティに日本以外の国籍など、多数と違うという理由だけでのけ者のように扱われてしまいます。これが酷くなるとイジメなどに繋がりますが、危害は加えなくても無視や仲間外れも悪質な行為でその人の尊厳を踏みにじっているので、現代は少しでも偏見や差別をなくすように社会として動く必要があります。