突貫工事(とっかんこうじ)
「突貫工事」とは「納期が迫っていたり遅れている事から、仕事や作業を急いで終わらせたり作り上げる喩え」です。時間が迫っているので一気にやってしまう「突貫工事」ですが、それ故に手抜きなどの不正があるイメージも強くなります。もちろん「突貫工事」でもきちんと作業をするのが前提ですが、時折不正が発覚する事件が露わになるのでそのような印象を抱いてしまうのです。
突貫工事の意味とは
「突貫工事」の意味は以下の通りとなります。
(1)土木や建築業界の専門用語で、短期間で仕上げる工事や作業の事。
(2)物事を一気に終わらせるや急いで取り組む喩え表現。
(3)土木・建築業界の使われ方が転じて、早く仕上げるや無理しても終わらせる際に使うビジネス用語。
”突貫”は「貫き通す」「一気に仕上げる」「一気に仕事を終える」、”工事”は「物を製作や製造する仕事」「土木や建築などの作業」で、土木や建築現場で仕事を一気に終えるのが「突貫工事」です。そこから土木・建築現場で使う事が多いのですが、それが転じて他の様々な仕事でも一気に終える必要がある時などに喩えとして用いられます。また、それぐらい大変な仕事であったり一気にやるぐらいの気概がないと終わらない仕事量といった意味合いもあります。ですから例えば、「今日は突貫工事だから」と上司に言われたら、忙しい・ゆっくりできない・大変・きつい・サボれないといった激務の予想ができます。一方では、かつての働き方改革などが問われる前なら「突貫工事」となると、それこそ深夜遅くまでの残業や徹夜などもあったでしょうが、現在ならもちろん会社や業務にもよりますが「突貫工事」でもそこまで長時間労働とは言えず、納期が迫っているので急いでやるがそこまで無理もしないといった感もあります。よって、もしかしたら「突貫工事」こそ各々の現場によってニュアンスが最も異なる言葉となっていて、ある人にとっては「多少キツイ」、別の人は「相当大変」と乖離が大きく異なった解釈をするかも知れません。
突貫工事の由来
「突貫工事」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては「突貫」は近代日本の小説家・幸田露伴の著書「突貫紀行」、「工事」はイギリス人作家・サミュエル・スマイルズの著書「自助論」の「西国立志編」(1870年)などに文言が記されています。
突貫工事の文章・例文
例文1.都内の主要駅やその近隣は毎日のようにビルやマンションの建設や解体が行われているが、気が付いたら終わっているのでその突貫工事ながら高い技術力には驚くばかりだ。
例文2.深夜1時になり非常に眠いが、突貫工事でこの資料だけは終わらせないと今日の報告で上司からやり玉に挙げられパワハラ三昧を浴びてしまう。
例文3.途上国で大きな地震が発生するとビルや家は脆く崩れ落ちるが、あれはきっと突貫工事によって建てられ強度もないのだろう。
例文4.取り敢えずは突貫工事で終わらせたので、きっとやり直しが命じられると思う。
例文5.リニア新幹線の計画は頓挫したのか詳しく知らないが、きっと最終的には突貫工事で無理矢理予定通りにしそうで怖い。
「突貫工事」を使った例文となります。
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突貫工事の会話例
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あー疲れたー。じゃあ、先に上がるから、お疲れー。
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いいなー。私はまだ仕事が終わりません。
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ほら、俺と喋って手が止まるとまた帰りが遅くなるって。
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いいんです。なんかやる気がなくなりました。明日、突貫工事で終わらせるので今日は帰ります。
職場での同僚同士の会話様子です。仕事を終えて帰宅しようとする男性社員が羨ましくなり、女性社員の方もやる気がなくなり帰宅しようとします。
突貫工事の類義語
「突貫工事」の類義語には「手抜き工事」「突貫作業」「特急工事」「急ピッチ」「大急ぎ」「やっつけ仕事」「急造」「強行」などの言葉が挙げられます。
突貫工事の対義語
「突貫工事」の対義語はありません。補足として「突貫」の対義語は「順次」「地道」「ゆっくり」「遅い」「のんびり」などになります。
突貫工事まとめ
土木や建築現場での期間内に終わらせる為に一気に作業をするのが「突貫工事」です。それが転じて、仕事全般や他の事でも物事を早く終わらせたり作業量が多く大変な場合の比喩表現です。一気にやらないと終わらなかったり、時間が迫っているので急いでやるとして「突貫工事」となります。