箍が緩む(たががゆるむ)
「箍が緩む」とは「緊張が緩みだらしなくなる事」です。よくあるパターンとして、入社仕立ての頃は慣れない仕事という事もあって緊張感がありますが、だんだんとルーティンとして慣れてくると気が緩むものですよね。そんな時に失敗をすると「箍が緩んでいた」と自覚し、反省をするのです。そんな慣れからの緊張の欠如となる「箍が緩む」の解説となります。
箍が緩むの意味とは
「箍が緩む」の意味は以下の通りとなります。
(1)緊張が緩んだり年老いて、しっかりしたところがなくなる。
(2)締まりがなくなる。規律が緩む。
(3)だらしなくなったり、気力がなくなる事。
”箍”は「竹を割り編んで輪にしたもの」「桶などの外側に嵌める締め固めるのに用いる輪」、”緩む”は「弛む」「締め具合が弱い」「緊張が解れる」「厳しい状態が緩やかになる」で、それまではきちんとしていたのが緊張が解れたりして、だらしなくなるのが「箍が緩む」です。要するに緊張感の欠如・不注意・ケアレス・注意散漫であり、個人としても組織としても歯止めが効かないのを表現する言葉です。例えば、「夏休みになり箍が緩んで遊び呆けた」「怖い上司が転勤したのでチームの箍が緩んだ」といった風に、それまでは出来ていたものが何かの拍子でバランスが崩れてだらけた方に舵を取ると「箍が緩む」となります。そもそも人間というのは楽な方を選択する生き物ですし、自堕落な生活や生き方に身を投じるとそのまま進んでしまう恐れがあります。だから、ある程度の規律や常識を宛がわれる方が結果として良くなります。しかし、そんな役割となるストッパー的な人であったりルールが無くなると、反動として途端に怠惰な本性が露わになるのです。因みに良く似た言葉の「箍を外す」は「規律や束縛から抜け出す」で、自ら進んで束縛から脱すると解釈されます。「箍が緩む」は本人の意図せぬところで何かしらの影響で箍が緩んでしまい、それによってだらしなくなったのです。
箍が緩むの由来
「箍が緩む」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては”箍”は国語辞典「書言字考節用集」(1698年)などに文言が記されています。
箍が緩むの文章・例文
例文1.両親が離婚してからは箍が緩み、そのまま勉強をまったくしなくなり今ではFラン大学すら中退しようか悩んでいるほど落ちぶれた。
例文2.アイドルとして成功していたのに、勢いで事務所を辞めてからまったく姿を見かけなくなった人達は、箍が緩んだ故の過ちだったと今頃は悔やんでいるだろう。
例文3.何度もダイエットとリバウンドを繰り返して思ったのが、箍が緩む自分の性格も悪いがこれだけ近所にコンビニが乱立すればお菓子を我慢するのは至難としか言いようがない。
例文4.貯金ばかりしていた真面目な友人が風俗とFXで箍が緩み、全財産をつぎ込み溶かしたと聞いた時は心配するフリをしながらも笑いを抑えるのが大変だった。
例文5.高齢の父親が運転する車は、車体そのものが古くて故障しそうで運転技術も定かではなくダブルの不安が付き纏うが、それでも本人は決して箍が緩んではいないと戦中の歌謡曲をかけながらご機嫌に逆走とも知らず車を走らせる。
気の緩みとして「箍が緩む」を使った例文です。
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箍が緩むの会話例
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ただいまー。今日は一日最悪だよ。仕事で失敗ばかり…落ち込むよ。
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だから、昨日は早く寝てって言ったのに、深酒するからよ。
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そうだよな。最近は課長への昇進とか、良い事が続いたから箍が緩んでいたな。で、調子にのって深酒して仕事をミスすればいい訳もできないな
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そんなに落ち込まないで。また明日から頑張ればいいじゃない。
仕事をミスして落ち込む夫と優しくフォローする妻のやり取りです。
箍が緩むの類義語
「箍が緩む」の類義語には、「緊張が緩む」「弛緩する」「だらける」「緊張感がなくなる」などの言葉が挙げられます。
箍が緩むの対義語
「箍が緩む」の対義語には、「緊張する」「頑張る」「張り切る」「勤しむ」「熱血」「意欲的」などの言葉が挙げられます。
箍が緩むまとめ
「箍が緩む」は緊張が緩んだり規律が緩んでだらしなくなる事です。職場や学校や日常生活などで、それまではしっかりやっていたのに例えば上司や教師がいなくなるとリラックスして緊張感が欠如する状態で、またそんな時に限って何かミスをしたりするのです。厳密には誰もが時には「箍が緩む」ものですが、その結果としてあまりにも無規律や自堕落に陥るのは考え物です。