簒奪(さんだつ)
「簒奪」とは「帝王・君主の地位を強引に奪う事、そのような強引な方法を批判する語」です。一国の権力を握るというのはとんでもない魑魅魍魎が跋扈する世界でトップに立つ事なので、それは並大抵の神経や力では務まりません。だからなのか堅苦しい表現が未だに多く使われ、「簒奪」などはその典型ではないでしょうか。
簒奪の意味とは
「簒奪」の意味は以下の通りとなります。
(1)帝王や君主になる資格が無い者、又は継承資格の低い者が強引にその地位を奪取する事。
(2)帝王や君主に本来なれない者が強引に地位を奪った事を批判する表現。
(3)資格ない者が君主になる事から、政治世界で強引に実権を奪い取る事。
「簒奪」は日常ではまず使わない言葉で、かつての帝王や君主が君臨した時代や現代の国家や政治世界に関連させて使用します。主な意味は上記の通りで、本来なら帝王や君主になれない者が何か策などを講じて君主になったり、或いは君主の継承資格が低い者が同じく策などの強引な力で君主になるのが「簒奪」です。従って「横取り」「掠め取る」といったニュアンスでも政治世界で用いられる表現です。他にも、無理矢理に君主となった者を批判する際に使ったり、君主など一国の長ではなくても強引に政治の実権を奪うのも「簒奪」となります。
簒奪の由来
「簒奪」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては江戸時代後期の神道書「古道大意」(1813年)の由縁などに文言が記されています。
簒奪の文章・例文
例文1.秘書が政治家の命令に黙って従うのは、簒奪となる機会を虎視眈々と狙っているからだろう。
例文2.日本国民はどんな事が起きても保守派に絶対の信頼を抱いているので、本当の意味で簒奪となる事態が発生すれば奇跡である。
例文3.二世や三世議員が持て囃されるのは簒奪という地盤沈下になれば不都合に感じる人があまりにも多いからだ。
例文4.若き野心家は簒奪を目指すべきだが、高齢者がここまで多いとそれすら無駄に思える。
例文5.スポーツなど実力が物を言う世界は自然と簒奪めいた事が起こるので新陳代謝が促進されるが、日本の政治ではカルト教団の力を借りても簒奪となる事はない。
「簒奪」を使った例文となります。
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簒奪の会話例
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次の選挙に期待する?
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それはないでしょう。もうお終いよこの国は。
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そんなに悲観しないで。もしかしたら、明日にでも自衛隊がクーデターで簒奪を図るかもよ?
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ないない、絶対にないって。もし日本でそんな事態になったらアメリカ軍が鎮圧するのよ。絶対に敵わないじゃん。
閉塞感が漂う日本社会についての会話です。
簒奪の類義語
「簒奪」の類義語には、「分捕る」「強奪」「略奪」「略取」「収奪」「攫う」「引っ手繰る」などの言葉が挙げられます。
簒奪の対義語
「簒奪」の対義語には、「受禅」「禅譲」「譲位」「奪還」「奪回」「取り戻す」「取り返す」などの言葉が挙げられます。
簒奪まとめ
「簒奪」はかつての帝王や君主の地位を強引に奪い取る事で、現在は政治の実権を奪い取るなどの表現で用いられます。要するに奪取・奪う・取り上げるといった意味合いですが、それを特に君主の地位の奪取や政治世界の強引な手法で権力や支配権を奪ってしまうのが「簒奪」です。