絆し(ほだし)
「絆し」とは「馬の足を縛り自由を奪う縄から、お願いや要求によって人の心や行動の自由を奪う事」です。人から頼み事をされると断れない性格というのが典型的な「絆し」で、本当は嫌であったり拒否したいにも関わらず、相手を考えると思わず同意して従ってしまうのです。これは相手を助けるという気持ちが自然と芽生えると、もう他の考えには至らなくなってしまうからで、そんな知ってか知らずかまるで心がコントロールされる「絆し」の解説となります。
絆しの意味とは
「絆し」の意味は以下の通りとなります。
(1)自由を束縛する。人の心や行動の自由を奪い取る。
(2)馬の足を繋ぎとめる縄から転じて、人の自由を妨げる物。
(3)手枷。足枷。ほだ。
「絆し」の「絆」は「きずな」と読む事で大変有名ですが、そもそもは「馬や犬などを繋ぎとめる縄」という意味でそれが現在の「人と人の結び付き」に変化しました。ですから「絆し」も「馬や犬などを繋ぎとめる縄」が転じて、「人の自由を束縛するや奪い取る」や「手枷」「足枷」などになりました。よって、「絆し」は人の結び付きが自由を奪うや妨げると解釈可能なのに対し、「絆」は離れられない人の結び付きが大事としているので、同じ「絆」を使っても意味は全く異なってしまいます。因みに使い方としては「義理人情の絆し」「子供が絆しになる」、また「絆す」「絆される」といった形で使われる事も多いです。
絆しの由来
「絆し」の由来は上記のように馬の足を繋ぎとめる縄の事で、それが次第に人の自由を束縛する行為も「絆し」と呼ぶようになりました。文献としては平安時代の漢和辞書「新撰字鏡」(898年〜901年)などに文言が記されています。
絆しの文章・例文
例文1.近所の多頭飼育をしている自宅前を通ったら、何匹かの犬や猫が両足を絆しされていてショックから言葉を失った。
例文2.彼が威圧的な声や態度をするのは、周囲の仲間を絆してコントロールする目的があるからだ。
例文3.大学入学で東京への一人暮らしが決まったら、父親が「お前は優しくて絆しされやすい性格だから人付き合いには注意しなさい」と助言された。
例文4.「困っている人を助けて」と何度も絆しをするよう求められたので、思わず給料の半分を宗教団体に寄付してしまった。
例文5.他人が乗り移ったように涙を流して絆しをお願いし、無事に売買契約書に承認の印鑑を押してもらい、自分の仕事を見事にやり遂げた。
「絆し」を使った例文となります。
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絆しの会話例
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ごめん。また頼まれごとをされたから、今週も仕事だよ。
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ちょっと、いい加減に休日出勤をされても断りなさいよ。本当に絆しをされると断れない性格よね。
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そうは言うけど、困っている人が助けを求めてきたら応えるしかないって。
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だからって、あなたが貧乏くじのようにいつも休日出勤をするのはおかしいでしょう。
気が弱く頼まれると断れない性格の夫はいつも休日出勤を同僚から頼まれるという内容です。
絆しの類義語
「絆し」の類義語には、「拘束」「ロープ」「抑止」「制限」「タガを嵌める」「呑まれる」「締め付け」などの言葉が挙げられます。
絆しの対義語
「絆し」の対義語には、「意に介さない」「頑なに」「束縛されない」「相手にしない」「取るに足りない」などの言葉が挙げられます。
絆しまとめ
「絆し」は馬の足を縛り自由を奪う縄から、人の心などの自由を縛るという意味です。人の心に付け入り半ば強引のようにこちらの要求に応じてもらうといったニュアンスになり、受け入れた方も嫌々ながらも仕方がないと納得している感もあります。よって、まるで実際に縄が使用されたように、こちらの自由が奪われ本来の思いとは真逆の行動を取ってしまうのが「絆し」です。