腹に据えかねる(はらにすえかねる)
「腹に据えかねる」とは「抑えていた怒りや不満が限界に達し、もう我慢が出来ない状態」です。大人になると、ある程度の事は水に流して表面上は何もないように振る舞えますが、それが出来ないぐらいに怒りが芽生えているのが「腹に据えかねる」です。普段冷静で穏やかな人が、この言葉を使ったら相当怒っているので注意しましょう。そんな「腹に据えかねる」の解説を始めさせて頂きます。
腹に据えかねるの意味とは
「腹に据えかねる」の意味は以下の通りとなります。
1,怒りを心の中に納めておく事が出来ない。
2.我慢が出来ない状態。我慢の限界。
3.怒りが納まらず、文句や行動を起こさないと気が済まない。
”腹”は「胴体の後半部」「考えている」「感情」「気持ち」「心の中」、”据え(る)”は「物を置く」「心をしっかり居定まらせる」、”かねる”は「一つで二つ以上の働き」「他方まで考える」「~できない」「~する事が難しい」となり、”据え”と”かねる”は状況に応じていくつもの意味合いが含まれますが、(怒りの)感情を落ち着かせる事ができない状態が「腹に据えかねる」です。表面上はまだ冷静さを保っていたり、或いはやや怒っている程度に見えますが、その心の中は怒りや不満や鬱憤が溜まり、もう我慢ができない状態です。子供だったら怒りのあまり行動しますが、大人になると様々な事情が絡んでくるので癇癪を起すのは難しいものです。それでも限りなく我慢の限界に近付いたり、又は限界を超えてしまった時に、「腹に据えかねる」や「腹に据えかねた」となります。よって、激怒・激高・怒り・腹の虫が収まらない・堪忍袋の緒が切れるなどの言葉もニュアンス的には非常に近いものがあります。
腹に据えかねるの由来
「腹に据えかねる」の由来は、残念ながら判明していません。文献としては、室町時代の狂言資料とされる「大蔵虎寛本」の若市などに文言が記されています。
腹に据えかねるの文章・例文
例文1.日頃から命令ばかりで夫をゴミ扱いする妻の悪態が腹に据えかねるあまり、思わずビンタをしようとしたら逆に蹴っ飛ばされて、その場に倒れて蹲った。
例文2.上司の暴言には腹に据えかねるのがあるが、結局は何もできない気弱な自分が憎い。
例文3.隣に新しく引っ越してきた家族は、旦那は半グレで奥さんは占い師、息子はヤンキーにしか見えず、毎晩のように遅くまでどんちゃん騒ぎを繰り返すので、腹に据えかねて警察に苦情電話を入れたら、なぜか即刻でバレてしまい関係が最悪になった。実は旦那が警察官だったのだ。
例文4.遊びにやってきた娘の友達と帰り際に、偶然玄関前ですれ違ったので挨拶をしたら、何と冤罪で私を痴漢ででっち上げた憎き女子高生だったので腹に据えかねるものは十分にあったが、その時の彼氏役が堅気には見えない男だったので、文句も言わず笑顔で見送った。
例文5.近所のコンビニに出掛ける度に店員からクスクス笑われ、それが何故なのか理由が分からず腹に据えかねて、もう我慢の限界だとこれからは別のコンビニを利用する事にした。
腹が立つや不満といった意味合いで「腹に据えかねる」を使った例文です。
- [adsmiddle_left]
- [adsmiddle_right]
腹に据えかねるの会話例
-
ただいまー。遅くなってごめん。
-
ちょっと、今日は早く帰ってくるって言ってたじゃない。
-
定時で帰ろうとしたんだけど、同僚に残業を代わってくれって頼まれて…。
-
この前もそうだったでしょう。人が良いから、いつも面倒事を頼まれるのよ。あなたも本当は腹に据えかねるものがあるでしょう? 偶にはガツンと言ってやりなさいよ。
気の弱い夫に対して、妻が苦言を呈しています。
腹に据えかねるの類義語
「腹に据えかねる」の類義語には、「我慢ならない」「つらく当たる」「癇に障る」「地団駄を踏む」「青筋を立てる」「堪忍袋の緒が切れる」「はらわたが煮えくり返る」などの言葉が挙げられます。
腹に据えかねるまとめ
「腹に据えかねる」は怒りを我慢できない心境を表現した言葉です。これまで我慢してきた不満や鬱憤が爆発しそうで何とか冷静を保っていますが、もう限界に達しそうな状態になっています。冷静を保っているので大人が使う言葉でもあり、また、「腹に据えかねる~」と口にしてから文句を発するのもよくあるパターンです。