自業自得(じこうじとく)
現在の日本は自己責任論が強くなっているので、何かと問題が起こっても社会より本人の責任とする向きがあります。その流れから、「自業自得」も同じように象徴する言葉として蔓延している感は否めません。何か失敗をしても、それは関与した個人(本人)の所為であり、だから「自業自得」となるのです。しかし、本来は仏教用語であり、もう少し寛容的な意味合いもあったのですが、今では通用しなくなり責任論が強調されています。もう一度、正しい「自業自得」の意味を理解する為にも、詳しく解説をさせていただきます。
自業自得の意味とは
「自業自得」(じごうじとく)は仏教用語で、自らの行為によって起こる結果を受け入れるという広い意味となります。よって、現在テレビなどで耳にする「自業自得」は悪い行いに対して、自己責任で受け入れる風潮ですが、実際には良い行いと悪い行いの両方を含んだ意味となります。良い行いから良い結果が本人に生じるように、悪い行いも悪い結果が生じて、どちらも受け入れるしかないという性でもあります。
自業自得の由来
諸説ありますが、鎌倉時代前期の法相宗の僧・貞慶(じょうけい)の「愚迷発心集」には、「自業自得の因果必然也」という一文があります。また、”自業”の”業”は「行い」とされるので、「自らの行い」という意味があります。
自業自得の文章・例文
例文1.まったく勉強をしなかったので、テストの成績が最悪だったが、全ては自業自得だ。
例文2.飲酒運転で警察に捕まったのは、自業自得以外の何者でもない。
例文3.朝寝坊で遅刻をしたのは、自業自得で言い訳のしようがありません。
例文4.暴飲暴食で入院をしたのは自業自得です。
例文5.自業自得だが、少しは反論の余地もあるのでは、と思ってしまう。
全体的には悪い事を自ら納得し謝罪する際、または他者が注意などをする際に用いられるケースが多いです。
自業自得の会話例
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少し熱っぽくて風邪を引いていたんですが、無理して友人とお酒を飲んで遊んでいたら、症状が悪化しました。
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それって、自業自得じゃないの?
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そうですよね。風邪の時に遊ぶのはダメですよね。
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もう若くないんだから、体調管理はしっかりしてね!
体調が悪いのに無理して遊び症状を悪化させて愚痴を吐いている人と、それを窘める人との会話やりとりです。
自業自得の類義語
「自業自得」の類義語には、「因果応報」「身から出た錆」などの言葉が挙げられます。
自業自得まとめ
自らの行為による結果は、良くも悪くも受け入れるしかないのが「自業自得」になります。しかし、今の日本では悪い事をした責任として、「自業自得論」を唱える事が多くなっています。また、受け入れられる社会構造が良くも悪くも、現代を象徴しているのも事実です。今後は、良い事をした際に「自業自得」と使う表現が当たり前になる方が、望ましい形ではないでしょうか?