虫唾が走る(むしずがはしる)
「虫唾が走る」とは「吐き気を覚えるほど相手に不満があり不快な事」です。人間関係とはどうしても全員と仲良くするのは難しいもので、特に仕事が絡んでくると威張ったり不快な態度をする人とは一緒に居たいとは思わないものです。我慢が限界まで達すると、拒否反応として「虫唾が走る」ほど嫌いになっても仕方がないのかも知れませんね。そんな「虫唾が走る」についての解説となります。
虫唾が走るの意味とは
「虫唾が走る」の意味は以下の通りとなります。
(1)胸がむかむかする程の不快。
(2)口中に胃液が出て吐き気が催す事から、転じて、嫌いな相手への文句やその喩え。
(3)腹が減って虫唾が口の中に逆流する。
(4)「虫酸が走る」とも書き同義。
”虫唾”は「胃液」「胃酸過多で胃から出る不快な酸っぱい液」、”走る”は「足を素早く動かし移動する」「乗り物などが進む」「水が勢いよく流れる」「飛び散る」等で、そのままの意味なら「胃液が飛び出る」「胃液が飛び散る」となるのが「虫唾が走る」ですが、それぐらい胃が不調なのでむかむかするとして主に苦手な相手や嫌い人に対して使う言葉であり、またそれぐらいに自分は不快であるとアピールする言葉となっています。そんな相手に直接ぶつける時もあれば、陰口や心の中に留めておく時にも使われますが、どちらにしろ「嫌い」の最上級表現の一つで「大嫌い」「相手を見下す」「馬鹿にする」といったニュアンスが含まれています。一方で自己嫌悪のように「自分自身に虫唾が走る」という使い方もありますが、高齢者や幼い子供が同年代に対して「虫唾が走る」というのは非常に稀なので、10代半ばから精々40代ぐらいまでの他人を毛嫌いや見下す独特な表現と言えるのではないでしょうか。
虫唾が走るの由来
「虫唾が走る」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては三味線を使った劇場音楽「浄瑠璃」の「菅原伝授手習鑑」(1746年)などに文言が記されています。
虫唾が走るの文章・例文
例文1.当時付き合っていた彼女との別れの際に、「あなたの性格は好きだったけど顔は大っ嫌いでずっと虫唾が走っていた」と言われ、何て性格が悪い女だが正直者なんだと思った事をふと思い出した。
例文2.車好きやバイク好きが夜な夜な爆音を出して走る姿は、虫唾が走るほど憎たらしく、なぜ警察は取り締まらないのか不思議でならない。
例文3.帰宅ラッシュの満員電車で大勢の乗客が疲労を滲ませ、また無表情を装っている中で、一人だけニヤニヤと興奮しているような表情を浮かべる男を見掛けた時は虫唾が走るような不快感に襲われ暫く観察していたら、視線に気が付いたのか目と目が合ってしまい途端に恐怖で助けを呼びたくなった。
例文4.妻と娘は私と同じ風呂や洗濯機を使う事に虫唾が走るほど嫌悪感を覚えるそうだが、それなら出ていってくれといつも思っている。
例文5.某市長が金メダルをかじった騒動で全国の女性陣は虫唾が走るほどの嫌悪感が覚えているが、当人はまったく空気を読めずどこが問題なのか分かっていないので話にならない。
嫌いな人達に対して「虫唾が走る」を使った例文です。
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虫唾が走るの会話例
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ごめん。そんなに怒るなよ。頼む、許してくれ…。
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もう無理。あなたの言い訳は聞き飽きたわ。もう、声を聞くだけで虫唾が走って背中が痒くなるの。
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そこまで言うなら、俺だってお前と一緒にいるのはもう無理だよ。
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それなら早く出て行ってよ。もう本当にお終いだから。
恋人同士の別れのやり取りです。
虫唾が走るの類義語
「虫唾が走る」の類義語には、「反吐が出る」「不愉快」「気分が悪くなる」「嫌悪」「虫が好かない」などの言葉が挙げられます。
虫唾が走るの対義語
「虫唾が走る」の対義語には、「目がない」「好き」「愉快」「好印象」「好感」「好意」などの言葉が挙げられます。
虫唾が走るまとめ
「虫唾が走る」は胃液が口の中に込み上げてくる事で、そこから、そんな状態になるぐらいに相手を不快に思う喩えです。単純に嫌いとするよりも、自身の体調が変化(悪化)するほどの嫌悪であり、また強烈な見下しとも受け取れます。