蛮勇(ばんゆう)
「蛮勇」とは「物事を何も考えない勇気や勢いだけの勇気」です。要するに計画性がなく勢いに任せているので、空回りが多くなる勇気といったニュアンスになるのが「蛮勇」ではないでしょうか? 本来なら普通に「勇気がある」と褒めてもよいところを、敢えて「蛮勇」と表現するにはそれなりの含みがあると思えてなりません。
蛮勇の意味とは
「蛮勇」の意味は以下の通りとなります。
(1)物事の道筋を考えないで、しゃにむに発揮する勇気。向こう見ずに突進する勇気。
(2)事の理非や是非を考えずに発揮する勇気。
”蛮”は「荒々しい」「乱暴」「下品」、”勇”は「勇ましい手柄」「気乗りする」「勇敢」「勢いが強い」で、荒々しい勇気や非常に激しい男気が「蛮勇」です。さらに深掘りするなら、後先を考えずに勢いに任せて行動をするので、それが良い結果や悪い結果にも繋がりますが、決断力が強くてとても勢いがあるように受け取れます。逆に見れば、単なる乱暴や自分勝手で計算が出来ないといったネガティブな印象もありますが、普通の人とは明らかに違う生き様であるのは間違いありません。よって、本当の勇気があるのも事実ですが、失敗をした場合や行動をした結果については何も考えず成行次第に身を任せるので、仲間や下の者は賛同もすれば離れてしまう人も多く評価は両極端になりそうです。
蛮勇の由来
「蛮勇」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては近代日本の思想家・中江兆民の著書「一年有半」(1901年)などに文言が記されています。
蛮勇の文章・例文
例文1.柔道部のクラスメートは教室ではその大柄な体格から蛮勇な姿を見せているが、大会に出ると試合ではいつも対戦相手に腰が引けていて注意や指導ばかりで誰もが情けないと思っているが口には出せない。
例文2.ヤクザは取り締まるがカルト宗教には協力する政治家を保守として祭り上げ、選挙になるとパフォーマンスとして観衆に蛮勇さをアピールするが、既に信者が熱心に票集めをしているのだから選挙結果は出ている八百長をあれこれと予想するメディアも含めた一大レースを誰か滑稽だと言って欲しい。
例文3.昔の大名は蛮勇かも知れないが、現代の働いても報われない層も勇敢だと認めるべきだ。
例文4.蛮勇な主人公が悪人を倒す人気作品が映画化されるが、どうせ主人公はアイドル事務所のどこかのグループに所属するヤワなタレントに決まっているのだから、原作とは程遠いファンタジー作品に生まれ変わり観る気が失せる。
例文5.タトゥーと筋肉で一応は蛮勇な男をアピールするが結局はいざとなれば役立たずで、精々ファミレスや居酒屋で隣に座る大学生グループを黙らせるぐらいしか効果はないのに、本人達は威圧感を与えたと喜び顔が少年のように満足し火照っている。
「蛮勇」を使った例文となります。
- [adsmiddle_left]
- [adsmiddle_right]
蛮勇の会話例
-
成功すれば謙虚になればいいのに、蛮勇で無茶をするのが良いと思う人が多いよね?
-
それってYouTuberや芸能人を皮肉っているんでしょう。
-
まあね。俺だって本当は成功したかったけど、チャンスがなく燻っている。成功した人は実力よりも運要素を認めるべきなのに、上から意見を垂れるのがイライラするんだよな。
-
その気持ちは分かるけど、成功して大金を稼ぐとどうしても鼻持ちならない風に変わって、蛮勇や傲慢になるのが人間の性なのよ。
成功者を妬む男性を宥める女性という内容です。
蛮勇の類義語
「蛮勇」の類義語には、「無謀」「勇気」「乱暴」「小勇」「暴勇」「度胸」「やけくそ」などの言葉が挙げられます。
蛮勇の対義語
「蛮勇」の対義語は厳密にはありませんが、強いて挙げるなら「慎重」「先見」「分相応」「怖気」「臆病」などの言葉が挙げられます。
蛮勇まとめ
「蛮勇」は向こう見ずの勇気がある事で、一見すると普通に勇気があるようですが実は何も考えないで単なるヤケクソ的な度胸からの行動となります。よって、とても大胆ですが失敗となって終わったり、周囲からは乱暴や無茶に見えるだけの場合も多いです。