証左(しょうさ)
「証左」とは「事実を明らかにする拠り所や材料であり”証拠”の事」です。「証左とは?」と問われたら、「証拠」と返答するのが最適解であるのは間違いありませんが、文字が違うように微妙なニュアンスが異なります。殆どの場面で同じように使えますが、与える印象や使い手の拘りなどが垣間見れるのです。
証左の意味とは
「証左」の意味は以下の通りとなります。
(1)証拠人。証拠。証人。証。左証。
(2)事実を明らかにする拠り所となるもの。
(3)事実や真実を明らかにする根拠。
(4)ビジネス現場などで好まれる表現で、証拠という意味で用いられる畏まった文章語。
「証左」は事実を明らかにする根拠や理由で、要するに疑問に対する明確な回答となります。ですから上記の通り基本的には「証拠人」「証拠」「証人」などと同義で、特に「証左」=「証拠」として用いる事が多いです。しかし、「証拠」はほぼどんな場面でも万能的に用いられるのに対し、「証左」はかなり難しい言葉であり日常的に会話などで使用するのはかなり稀です。その代わりに経済やビジネス現場では割と多く使われ、例えば「日経平均が上昇する証左はこれがある」「企業買収は無数の資料から使える証左を頼りに判断する」といった風に用います。また「証拠」や「証左」の英訳は「エビデンス」(evidence)で、近年なにかと使われがちなこの言葉と同じ感覚で「証左」が使われるパターンもあります。要は「エビデンス」も昔からあった言葉ですが、医療業界などが「証拠」という意味で1990年頃から使い始め、それがコロナ禍になるとメディアに登場する医者・大学病院教授などが意味深のように「感染予防のエビデンスは…」と口にし出すと一気に広まったのです。そのような感じで本来なら意味が分かりやすい「証拠」にすべきところも、敢えて難しい表現である「エビデンス」にするように「証左」を好んで使用する人達が一定数存在するのです。理由として恐らくは「証拠」は子供から大人まで誰もが安易に用いるので、より重みや深みを与える効果を狙ったものなのでしょう。よって、「証拠」の畏まった表現であり「エビデンス的」な感覚で使うのが「証左」となっています。
証左の由来
「証左」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては室町時代の「漢書列伝竺桃抄」などに文言が記されています。
証左の文章・例文
例文1.テレビのニュース番組で、コメントを求められた弁護士が意気揚々と話題の事件の裁判について「証左」と言い始めたので、そこは「証拠」の方が正しいのではとツッコミを入れた。
例文2.コロナ関連の話題はどれも証左が捏造されている気がして、もうどれが真実なのか分からない。
例文3.金田一少年も設定が高校生から大人の37歳になり、証拠を証左と言うようになったと期待したが変わらなかった。
例文4.課長が「証左となるデータが欲しいからまとめてくれ」と新人に頼んだが、Z世代の彼にはちょっと意味が通らなかった。
例文5.証左資料を添付して関係者にメールで送った。
「証左」を使った例文となります。
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証左の会話例
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うーん、どうするべきか…。
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そんなに頭を抱えて、どうしたんですか?
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証左となる…、証左となるものがこれだけでは足りないんだよ。これでは信ぴょう性が得られず、上から拒否される。
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分かりました。私がもう少し詳しくまとめてみます。
職場にて、企画書を前に頭を抱える課長へ部下が手助けするという内容です。
証左の類義語
「証左」の類義語には「裏付」「原拠」「明かし」「証明」「印」「実証」「裏書」「信証」「反証」などの言葉が挙げられます。
証左の対義語
「証左」の対義語には「無根拠」「勘」「直感」「好み」「憶測」「主観」「経験則」「決め込む」「推し計る」などの言葉が挙げられます。
証左まとめ
事実を明らかにする為の拠り所となるものであり、証明する材料となるのが「証左」です。よって、「証拠」や「裏付け」の事でもありますが、より畏まった文語的な表現となります。基本的には「証拠」と使うところを「証左」として問題ありませんが、裁判や警察など法律用語では「証拠」として、ビジネス分野では敢えて「証左」と好んで使う場合もあります。