貧乏クジ(びんぼうくじ)
「貧乏クジ」とは「不利益を被るクジから最も損する役回りになる事」です。子供の頃は学級委員や掃除当番、大人になると飲み会の幹事やPTA役員など誰もがやりたくない役割を任せられる事がありますよね。そんなまるで嬉しくないクジに当選したような様が「貧乏クジ」であり「貧乏クジを引いた」となります。自分にはならないようにと願っているのに、そんな時に限って悪運が働き最も嫌な役目となってしまうのです。それでは不運である「貧乏クジ」についての解説となります。
貧乏クジの意味とは
「貧乏クジ」の意味は以下の通りとなります。
(1)クジ引きで当たる事が残念に思う不利益を被るクジの事。
(2)他と比較して不利益となるクジから、苦労の割には得る物がない損な役回りを任せられる事。
(3)災難や面倒事など望んでいない出来事に遭う。
(4)不利益しかない役柄や仕事など。
”貧乏”は「財産や収入が少なく生活が苦しい」「お金がなく満たされていない」、”クジ”は「紙などを使った占いや当落を決める方法」で、普通のクジは当選するのが嬉しいものだが、当選すると逆に不運と思いたくなるクジが「貧乏クジ」です。そこから、町内会の役員などに決まってしまうと損な役回りとして「貧乏クジを引く」「貧乏クジを引いた」と形容します。要するに、誰もがなりたくないものを決める際にクジを引いたり、或いはクジではなく多数決などで勝手に決められてしまった結果が「貧乏クジを引く」なのです。ですから、例えとして現役世代は高齢世代よりも年金が少ないので「俺達は貧乏クジを引かされた」となり、誰もクジなど引いていないが社会の流れとして損する役目としてこのように表現します。因みに”クジ”なので「引く」「引いた」といった使い方が一般的になり、「貧乏クジになる」「貧乏クジとなった」などは誤りです。
貧乏クジの由来
「貧乏クジ」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては江戸時代後期の諺語辞典「譬喩尽」(1786年)などに文言が記されています。
貧乏クジの文章・例文
例文1.クラスでいつも貧乏クジを引かされて掃除当番や学級委員などを押し付けられ、どうにも納得できずある日思い切って調べたところ全員がグルになっていたのが発覚しショックを受けた。
例文2.裕福な家庭で育ち苦労知らず、おまけにイケメンで貧乏クジを引いた事など一度もない奴とは仲良くなれる自信がないし、向こうも毛嫌いするだろう。
例文3.政治家とは貧しく学がない人々を「あいつら貧乏クジを引いて災難だな!」と、止めの一撃で笑い飛ばす神経の持ち主がなる職業だ。
例文4.東京以外で生まれ育つのは貧乏クジを引いたようなものだと、何かの雑誌に書かれていたが、強ち間違いとも言えないぐらいに地域格差が顕著になっている。
例文5.アル中の家庭で育ったので父親が暴れるのが通常運転で、それこそ酒臭い息と顔から何度貧乏クジだけを引き続ける人生だと呪った事か分からないほどだ。
ネガティブな表現として「貧乏クジ」を使った例文です。
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貧乏クジの会話例
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どうせ、俺と結婚したのは間違いだと思っているんだろ。顔に書いてあるよ。
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そんな事は言ってないでしょう。でも…。
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でも、何だよ。
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貧乏クジを引いたとは思っているよ。あなたが勢いで仕事を辞めてからは生活が安定しないで、苦労ばっかり。もう嫌、こんな生活。
険悪な雰囲気の夫婦の会話です。
貧乏クジの類義語
「貧乏クジ」の類義語には、「アンラッキー」「不運」「泣きっ面に蜂」などの言葉が挙げられます。
貧乏クジの対義語
「貧乏クジ」の対義語には、「棚からぼたもち」「渡りに船」「干天の慈雨」「嬉しい誤算」「ビギナーズラック」などの言葉が挙げられます。
貧乏クジまとめ
「貧乏クジ」は当選するのが逆に不利益に感じるクジで、町内会の役員を任せられるなど面倒で損な役割になる事です。本来のクジは当選するのが喜ばしい事ですが、「貧乏クジ」は当たるのがデメリットであり少しも嬉しくなく、損や面倒事などの喩え表現です。