貪欲(どんよく)
「貪欲」とは「物欲・金銭欲・食欲などの欲求がとても強い事」です。まるで周囲がドン引くほどの欲深さで、食べ放題だからと脇目も振らずに食べ続けたり、お金や出世の為には平気で仲間を裏切るようならちょっと興醒めし呆れてしまいますよね。己の欲求こそが第一で、その為には我を忘れたり、或いは周囲に配慮する余裕がなくなるのが「貪欲」で、現代ではあまり受け入れられない性質となっています。では、そんな「貪欲」についての解説となります。
貪欲の意味とは
「貪欲」の意味は以下の通りとなります。
(1)非常に欲深い。
(2)物欲や金銭欲や食欲が非常に強く、手に入れた物だけでは満足せずさらに欲する。
(3)新たな知識や技能などを熱心に取り入れる勤勉さや真面目さの喩え。
”貪”は「むさぼる」「欲張る」「欲張り」、”欲”は「ほっする」「ほしがる」「望む」「ほしがる気持ち」で、何かを非常に欲しがるやそんな強い感情が「貪欲」です。従ってあまり上品な言葉とはならず、どこか己の欲だけを全面的に主張するような強引さを感じさせますが、熱心に学習するなどの肯定的な使い方としても「貪欲に知識を入れる」といった風になります。これが類似である「強欲」「欲張り」「欲深」との大きな違いで、「貪欲」だけは良い意味合いでも悪い意味合いでも使われるのです。先ほどと同じような感じで、例えば練習熱心なら「俺は貪欲な性格なんだ」とすると、肯定的であり悪い意味合いとはなりません。しかし、皆とのバーベキューで一人だけ肉を独占したら「貪欲過ぎてキモい」「あれだけ食べるって貪欲にも程がある」など他者が批判としても用いられます。自分一人で完結し誰にも迷惑をかけないなら、それがどんなに欲深いとしても「貪欲」と使って、そこまでネガティブな印象は抱き難いです。投資などで大金を稼ぐにしても「貪欲に取引を重ねる」にあまり不快なイメージはありませんが、いくら仕事とはいえ営業マンが「成績を上げたくて強欲に商品を売ってきた」とすると部外者ほど印象悪くなるものです。この場合は「〜貪欲に商品を売ってきた」でも良いイメージとはなりませんが、「強欲」よりはマイルドになります。よって、やっている事は同じでも「貪欲」には欲深さがやや改善され不快に感じさせない不思議な力があり、類似の言葉で迷っているなら一番無難な選択となります。
貪欲の由来
「貪欲」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては平安時代初期の空海(弘法大師)の仏教書「三教指帰」(797年頃)などに文言が記されています。
貪欲の文章・例文
例文1.貪欲さが売りなので、全体練習が終わってからも一人で遅くまでサッカーの練習に明け暮れていたら高2になった時にレギュラーになれた。
例文2.どんなに不正を糾弾されても政界にしがみ付く議員を見ていると、一体どこまで権力を握る事に貪欲なのかと呆れるやら悲しくなるやら、この人達の恥知らずな欲の強さは災害レベルだ。
例文3.貪欲に笑いを追求すると豪語するお笑い芸人はどいつも集団での仲良し芸で、互いに仲良く支え合い誰も傷付けずにチームプレイに徹する姿は北朝鮮のマスゲームを彷彿させ、そのトップには関西芸人が君臨していると思うと情けなくなる。
例文4.難関大学から大企業や国家公務員になるのがこの国に残された唯一のエリートへの階段とされてきたが、皇室入りという裏口入学のような起死回生の方法を編み出した某ファミリーの貪欲な狡賢さは、お受験ママや戸建てファミリーには絶対に思い浮かばない生粋の悪だからなせるウルトラ技だ。
例文5.くず芸人の貪欲な借金エピソードに腹を抱えて笑っているのは、同じ境遇の者だけである。
様々な「貪欲」を使った例文となります。
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貪欲の会話例
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それ残すの? 勿体ないから俺が食べるよ。
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そう、じゃあ食べ残しで悪いけど、はい。
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何これ、美味いじゃん。これ残したらダメだよ。
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だってもうお腹一杯なんだもの。それにしても、あなたは貪欲に何でも食べるわね。まるで野良犬のようね。
飲食店で食事をしている男女の会話です。
貪欲の類義語
「貪欲」の類義語には、「意地汚い」「多欲」「欲張り」「がめつい」などの言葉が挙げられます。
貪欲の対義語
「貪欲」の対義語には、「無欲」「恬淡」「禁欲」「ストイック」などの言葉が挙げられます。
貪欲まとめ
「貪欲」は物欲や金銭欲や食欲など非常に欲深い事です。現状では満足できずもっと欲しいという気持ちが先走り、その感情を抑えられない感があります。しかし、欲求があるのは一概に悪いとも言えず、勉強や練習熱心な様から「貪欲に取り組む」はどこか真面目で頑張り屋のイメージがあるものです。このような点が類似である「強欲」「欲張り」「欲深」よりも印象良く感じさせます。