貫目(かんめ)
「貫目」とは「本来は重さの事だが、ヤクザ用語では肩書や地位など立場を明確にする言葉」です。ヤクザ社会とは一見すると無法でならず者の印象が強いが、一度組織に入ると周囲は全員がヤクザなので、そこには厳しい縦社会が徹底されています。上の者の意見は絶対であり、逆らうと厳しい制裁が待っているのです。ですから、序列の上下を大事にする「貫目」が長く定着をしています。そんな「貫目」の解説をさせて頂きます。
貫目の意味とは
「貫目」の意味は以下の通りとなります。
(1)ヤクザ用語で、肩書や地位、或いは役職や器量などの事。
(2)物の重さ。目方。重量。重さの単位。
(3)人として身に備わる威厳、貫禄、人格など。
「貫目」は一般的には物の重さを量る事で、特に昔ながらの方法とです。したがって、重量であり目方、そして重さ自体の単位ともなります。また、威厳や貫禄の事でもあるので、そこからヤクザ・極道用語としての「貫目」は肩書や地位などの意味を持つのです。組長や会長が最も偉く、次に若頭や若頭補佐に本部長となり、この人達は役職があるので「貫目あり」となります。しかし、若い見習いのようなチンピラや準構成員などは立場がまったくないので、単なる下っ端として「貫目ない存在」です。例えば、兄貴分を称える弟分が「さすが兄貴です。俺とは貫目が違います!」と言うと、自らよりも立場が上なだけあり貫禄や器量があると持ち上げているのです。さらに深掘りすると、「貫目」はヤクザ社会全体での地位となるので、より大きなヤクザ組織や組・団体で使う傾向があります。また、ヤクザ社会は親分子分の完全なる縦社会なので、会合などの際には「貫目」によって席順が明確に決まっていて、その仕来りを破るのはご法度となっています。
貫目の由来
「貫目」の由来は残念ながら不明です。文献としては、江戸時代の算術書「塵劫記」(1627年)などに文言が記されています。
貫目の文章・例文
例文1.みかじめ料の徴取で料繁華街に出掛けたところ、よその筋者と運悪くバッティングして最初は威勢よく文句を言い放ったが、相手の方が貫目が上と知り最後は謝ってイモを引いて逃げてきた。
例文2.ヤクザ世界で生きるようになると貫目の順番は絶対で、兄貴分に反対意見を言うのは絶対に不可能だ。
例文3.政治世界はヤクザも真っ青な縦社会で、だから内閣や大臣など貫目を持つ者には誰も逆らえず、国民が批判の声を上げても奴らにはまったく届かず無意味に近い。
例文4.「アウトレイジ」や「仁義なき戦い」などのヤクザ映画が大好きな職場の後輩は、何かと「貫目がある」と私を持ち上げるが、まさか小学校から高校卒業まで散々イジメられていたとは今更言えない。
例文5.組で最も貫目がある者は、見掛けは案外と普通で企業のサラリーマンのような風貌だが、時折見せる鋭い目つきや刺のある物言いは修羅場をくぐってきたと思わせる。
ヤクザ用語の「貫目」を使った例文です。
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貫目の会話例
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新しい髪型にしたんだ。どう? かっこいいでしょう!
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それって、パンチパーマだよね。どうしてそんなヤクザみたいな髪型にするのかな。
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パンチだけど違うって。俺はブラックミュージックやソウルに憧れているから、そのルーツに敬意を示してまずは髪型を真似したんだよ。
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はいはい、と。あなたがどんなに理屈を言っても、99%の人はヤクザに憧れた貫目がまったくない冴えない男という印象を持つだけよ。
念願のパンチパーマにした夫に呆れる妻の会話内容です。
貫目の類義語
「貫目」の類義語には、「座布団」「風格」「階級」などの言葉が挙げられます。
貫目の対義語
「貫目」の対義語は厳密にはありませんが、「哀れ」「見劣り」「下風」「風下」「下級」「下層」などの言葉が比較的に近い意味合いとなります。
貫目まとめ
「貫目」は重さや目方、貫禄などの意味を持つので、そこからヤクザ用語では地位や肩書や役職などの意味となります。ヤクザ組織において組長や若頭に本部長などは役職が上なので、この人達は「貫目がある」存在となります。逆に若い下っ端や準構成員などは組織において立場が下なので、雑用や面倒事を押し付けられる「貫目が低い者」となります。