「貴賤」の使い方や意味、例文や類義語を徹底解説!

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貴賤(きせん)

時代小説などに度々登場する「貴賤」という言葉を知っていますか? 意味は身分の上下の双方を指して、有名な言葉に「職業に貴賤なし」というものがあります。これは、どんな職業も平等でどちらが上や下などはないと解釈できます。しかし、実際には職業差別や階級めいたものがあるので、飽く迄も建前として理想論という趣があるのも事実です。ですから「貴賤」とは不景気や時代の変わり目などになると、注目を集める言葉です。では、解説を始めさせて頂きます。

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貴賤の意味とは

「貴賤」の意味は以下の通りとなります。
 (1)貴い事と卑しい事。
 (2)身分の高い人と低い人。
 (3)金額の高いと低い事。
「貴賤」とは珍しい言葉で、相反する双方の意味が込められています。よって、優れているや身分が高いなどを意味する”貴い”と、反対に身分が低いや下品などを意味する”卑しい”の両方、金額の高いと低いを指しています。立場や階級など、高い方と低い方を一言で表すので便利なのは確かですが、使い方が難しいのも事実です。代表的なのは、先ほど紹介した「職業に貴賤なし」ですが、立場上の者がこのように使うと、それは嫌味であり失礼になるので、実際に使うのは皆無です。よって、理想論などを語り合う席で使われたり、また時代の変わり目などに人間としての在り方を問う時にも好まれて使われます。他には、時代小説でも登場する事が多い言葉であり、日本は階級社会ではないですが実際には存在しているようなものなので、それに対する皮肉として便利な言葉が「貴賤」ではないでしょうか。

貴賤の由来

先ほども触れましたが、有名な「職業に貴賤なし」と最初に発したのが、江戸時代の思想家・倫理学者の石田梅岩とされます。当時は、士農工商で職業による階級分けができていたので、それに対して人間の価値は職業で決まらないと呈し、商人の立場を認める・擁護する言葉を残したのです。「貴賤」に対し、石田梅岩を由来とする解説が多いですが、実際には更に遡り平安時代初期には言葉として誕生していたようで、勅撰史書「続日本紀」(717年)には「貴賤」を用いた文言が残されています。

貴賤の文章・例文

例文1.職業に貴賤はないが、出来れば国家公務員になりたいので、今は勉強ばかりしている。
例文2.江戸時代は商人の立場が低く、”職業に貴賤なし”が誕生したが、現代も飲食店の仕事はきつく人気がないので、変わりがないのが実情だ。
例文3.資本主義の世の中で、貴賤なしと言うのは綺麗事以外の何ものでもない。
例文4.どんな人間も平等なので、貴賤は理想論としては価値ある言葉だ。
例文5.現在の日本は、貴賤精神がどこか遠くに消えてしまったようだ。理不尽な上流階級を特別扱いするのが目立っている。

「貴賤」は現実と理想によって、まったく例文も変わってきます。理想としてはとても大事な言葉ですが、実際には特権階級が特別扱いされ、社会や世間から待遇良く扱われます。

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貴賤の会話例

  • 人間は誰も平等って言うけど、日本はお金がない人に当たりが厳しいし、冷たいよね。俺も大企業のサラリーマンになって、お金を稼ぎたかったなあ!

  • その若さで、もうそんな風に感じるんだ。でもね、世の中は階級やお金だけが判断基準ではなく、貴賤的な考えもまだ残っているんだよ。

  • 本当に? どこで?

  • エリートサラリーマンや国家公務員だって、満員電車に揺られて、遅くまで残業をして疲れている。これって、私たちと同じでしょう。それに、傍目からは誰がエリートか分からないよね。だから、万人が平等的な社会が日本なんだよ。

エリートサラリーマンは「貴賤」の枠外とする男性と、彼らも仕事はハードで見た目は一般人と変わらないとする女性の会話内容です。

貴賤の類義語

「貴賤」の類義語には、「尊卑」「優劣」などの言葉が挙げられます。

貴賤まとめ

「貴賤」は身分が高い人と低い人、金額の高いと低い、貴いと卑しいなど、人間は誰も平等という考えや思想となります。現代では理想論という向きが強いですが、その一方で社会平等などを訴える人からどんな時代でも常に共感される言葉となっています。江戸時代の思想家・石田梅岩による「職業に貴賤なし」が最も有名で、この言葉に感化される人々は本当に多いです。

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