郷に入っては郷に従え(ごうにいってはごうにしたがえ)
最も有名な諺の一つが、「郷に入っては郷に従え」ではないでしょうか? 語呂の良さもあり、小学生でも知っている人が多い諺です。ですから意味も理解している人が多いですが、由来や似た意味の諺などは案外と知らないものです。では、詳しい解説となります。
この記事の目次
郷に入っては郷に従えの意味とは
「郷に入っては郷に従え」の意味は以下の通りとなります。
(1)新しい土地・環境・職場などに入ったら、そのやり方やルールに従うべきで、その方が賢明。
(2)社会的集団に後から入ったら、価値観が合わなくても、一先ずは従うべきとする教え。
(3)その土地土地で習慣や風俗が違うので、新しい土地では自らが折れて合わせるべき。
(4)集団に属したら、その組織の規律には従うべき。また、それが賢い生き方で、無暗に人と対立しないで済む。
(5)「郷に入れば郷に従え」や「郷に入りては郷に従え」も同義。
有名な諺ですが、微妙にニュアンスが異なります。それは、最後が”従え”となっているので、そこをどのように解釈するかによって、意味合いが違ってきます。基本的には、新しい集団に属したり、引っ越しなどで地域が変わったら、そこでの習慣やルールに従いなさいと説いています。ですが、その方が賢明や賢いとするもの、一時的に従うべき、長く付き合うなら従うべき等々、「郷に入っては郷に従え」も解釈の違いで、如何様にも意味が取れてしまいます。さらに言うなら、日本は村社会なので、新参者に対しては冷たくあしらうので、それを避ける意味で、まずは自らが折れてその集団に溶け込むようにする心得と理解すると、結局はそこに居る間は、その場所や土地の習慣やルールに文句を言わず従うのが賢明と読み取れます。
郷に入っては郷に従えの由来
「郷に入っては郷に従え」の由来は、紀元前360年頃の中国戦国時代の思想家・荘子による「外篇」の句「入其俗従其令」、その後に中国南宋代に成立した禅宗の歴史書「五灯会元」にも、元となる諺があるので、この二つが起源とされています。
郷に入っては郷に従えの文章・例文
例文1.郷に入っては郷に従えを守り、野球部に入ったので頭を坊主に丸めた。
例文2.昔は体育会系の先輩後輩の主従関係が当たり前なので、郷に入っては郷に従えの教えは絶対だった。今のゆとり世代には理解できないだろう。
例文3.やっと再就職できたので、郷に入っては郷に従えを心掛け、この会社のルールには何でも従う覚悟だ。
例文4.ワンマン社長なので誰も社風に文句を言えず、郷に入っては郷に従えどころか、絶対服従するしかないのが現実だ。
例文5.郷に入っては郷に従えは賢く生きる処世術だが、これが住み辛くさせ、近所付きあいが減っている現在の最大の要因だ。
「郷に入っては郷に従え」は現在には合わない古臭い慣習ですが、従った方が面倒事が減るのも事実である。
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郷に入っては郷に従えの会話例
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明日から初出勤なんだけど、緊張するなあ。どうすれば良いと思う?
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まずは、元気にあいさつをする。それから笑顔を出す様にして、最後は就業時間が終わっても、促されるまで帰らない。これを最初は徹底すれば大丈夫!
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なんか、郷に入っては郷に従えという感じがヒシヒシ伝わるね。
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そうだよ。特に、初日は緊張して疲れるけど、勤務時間が終わったからってサッサと帰ったらだめだよ。残業が多い職場もあるし。それにやる気がないと思われから。職場ではこの辺に気を付けないとね。
新しい職場で働く男性に対し、「郷に入っては郷に従え」という趣旨のアドバイスを女性がします。
郷に入っては郷に従えの類義語
「郷に入っては郷に従え」の類義語には、「俗に入っては俗に従え」「国に入ってはまずその法を聞く」などの言葉が挙げられます。
郷に入っては郷に従えまとめ
「郷に入っては郷に従え」は、新しい環境や職場などでは理不尽な事でも妥協して、そこでのやり方などに従うべきで、従う方が賢明で良い関係を築けるという教えとなります。特に、引っ越しなどで新しい土地ではローカルルールも存在しますが、まずは文句などを言わず、不満も胸にしまい自分が折れるのが無難であり波風立たないものです。