都落ち(みやこおち)
「都落ち」とは「会社員や若者が東京など都会を離れて地方で暮らす事」です。東京を始めとした都会は人が多く刺激的なので、それは仕事にしろ遊びにしろ毎日が充実していると思えるのは事実でしょう。だから東京には大勢の人々が集まり、大企業も多く点在するのです。しかし、誰もがそんな大都市で生活できる訳はなく、会社員なら地方に転勤や左遷され、夢が破れた若者もいつかは離れる時が来るのです。そんな悲しい事情を示す「都落ち」についての解説となります。
都落ちの意味とは
「都落ち」の意味は以下の通りとなります。
(1)東京など都会に居られなくなり、実家がある地元や地方に戻る事や逃げ出す事。
(2)サラリーマンなどで本社がある都会から地方へ転勤などをする事。
(3)戦に敗れて地方へ落ち延びる事。
(4)上京した若者の夢が破れて、再び地元に戻る事。
「都落ち」は文字通り、都会や都(みやこ)から落ちたという感があるのは否めないので、何かしらの事情があるにせよ都会に居辛くなったやそう追い込まれてしまったのは疑いようがありません。基本的には都=東京ですが、関西や九州や北海道なら大阪や福岡や札幌といったその地域での最大都市が該当する場合もあります。そこで、会社員なら左遷人事、若者なら夢が破れて現実を受け入れといった風に、それぞれの事情から都である東京を離れて、実家がある地元であったり他の地域に転住する事です。転勤や左遷以外なら、夢が破れても東京に残る選択肢もありますが、単純に物価が高く生活し辛い事や未練を断ち切るなどを理由に離れるのが一般的です。最近は地方移住なども流行っていますが、本心や本音としては「都落ち」を負けと素直に認められないから、体のいい言葉で何とか誤魔化しているのでしょう。中でも、東京に本社がある大企業に就職したエリート意識が強い若者ほど、地方転勤や地方配属を「都落ち」として極端に嫌う点があります。確かに想定した出世街道とは大きく道を外れてしまうのは事実ですし、何より日本の場合は東京への一極集中は顕著で、仕事だけでなく政治や経済、それから文化や遊びなども全て中心なので、それがいくら仕事の都合とはいえ東京を離れると他の様々な付属とされるメリットまで失うので、想像以上にデメリットとなって喪失感を抱くのです。単に地方移住や転勤、夢が破れたでは済まない深く重い言葉が現在の「都落ち」なのです。
都落ちの由来
「都落ち」の由来は鎌倉時代の軍記物語「平家物語」で、戦いに敗れた平氏軍が京都の都を離れた事です。そこから「平家の都落ち」という言葉も誕生しました。
都落ちの文章・例文
例文1.某ロックバンドのエンジニアだった兄は、ボーカルが大麻で捕まってからはライブやアルバム制作が滞り、都落ちする様に実家に戻ってきた。
例文2.サッカー選手は首都のチームから地方に移籍しても、そこがビッグクラブなら都落ち感は皆無である。
例文3.最近は都落ちを意識させない為に、本社を敢えて地方に移転させる事がある。
例文4.芸能人はそれこそ東京絶対で、いくら過去に有名だったとしても地方テレビでしか顔を見かけなくなると、都落ちと言われても仕方がない厳しい世界だ。
例文5.東京の人口流出が本格化すれば、今ほど都落ちという言葉は意味をなさないが、その時は日本そのものが沈没しているだろう。
東京での暮らし、サッカー選手などで「都落ち」を使った例文です。
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都落ちの会話例
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来月には引っ越すのかー。嫌だなー。
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私は早く引っ越したいけどなー。いいじゃない千葉も。
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いやいや、東京を離れるのは都落ちだよ。いくら隣の千葉とはいっても、そこは拘りたいじゃん。
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その気持ちも分かるけど、家賃も安くなるし自然も多い。それにテレワークだから東京に住む意味がないでしょう。
東京から千葉に引っ越す事になった夫婦の会話です。夫は東京に拘りがあるが、妻はそんな気持ちが微塵もないという対象的な感があります。
都落ちの類義語
「都落ち」の類義語には、「左遷」「国替え」「離京」「僻地」「移住」などの言葉が挙げられます。
都落ちまとめ
「都落ち」は東京など都会を離れて地方に移住する事で、転勤のサラリーマンや夢破れた若者などに使う言葉です。元々は平家物語を由来として戦いで敗れ京都を離れた事から、現在でもどこか敗北感や絶望感が漂っているのは事実です。一方、近年は東京に拘らず地方移住を好む若い世代が多くなっていますが、それでも東京本社で働くのと、地方に飛ばされるのでは大企業ほど出世レースから遅れを取ったと考えてしまうものです。