雌伏(しふく)
「雌伏」とは「屈服する事と、活躍する時期を待っている下積み生活」です。元は雌鶏が雄鶏に従う姿から情けない言葉ともなりますが、現在はそこに留まらず従うのは仮の姿で、生き馬の目を抜くようにチャンスを待っていると解釈されています。ですから、下積みや我慢期間として新人や若者などが力を蓄えている際に用いています。そんな「雌伏」の解説となります。
雌伏の意味とは
「雌伏」の意味は以下の通りとなります。
(1)人に屈服して従う。
(2)将来の為に実力を養いながら活躍のチャンスを待っている。
(3)雌鳥が雄鳥に従う姿から、転じて、人に従う事や低い地位で我慢し好機が来るのを待つ。
(4)「雌伏雄飛」も同義。
”雌”は「雌鳥」「めすの鶏」、”伏”は「体を低くして俯きになる」「物の下に隠れる」「うつ伏せ」で、屈服する状態に甘んじるのが「雌伏」です。惨めで落ちぶれた状態をまるで雌鳥のようだとして「雌伏」となりますが、逆にそんな状態をひたすら耐えて活躍をする機会を待っているのも「雌伏」となります。よって単に屈服している様と、そこから反撃や飛躍を待つ状態の大きく二つの意味があります。一般的な使い方としては、下積みや不遇時代など努力や我慢をしている最中を「雌伏」とする使い方が多く、例えば「現在は売れっ子のお笑いタレントも長く雌伏の期間が続いていた」といった風になります。
雌伏の由来
「雌伏」の由来は「雌伏雄飛」と同様に、中国後漢時代の歴史書「後漢書」の趙典伝となります。
雌伏の文章・例文
例文1.入社して直ぐにここはブラックでヤバイ会社だと分かったが、奨学金の返済もあるので今は雌伏の時期だと自分をいい気かせ耐える事にした。
例文2.戦争が終わり一見すると平和な世の中だが、実態は政府や政治家に役人の雌伏となった国民が未来に希望もなく、ただ空気を吸い眠るだけの社会となってしまった。
例文3.社内で相手にされない同僚に「今は雌伏の時で辛いけど大丈夫だよ」と声をかけたら、「お前はいつも綺麗事ばかりで上司のポチ」と言われ、その言葉が今でも頭から離れない。
例文4.アメリカや中国に雌伏してばかりいるので、政治家もストレスが溜まり夜な夜な高級クラブを税金で楽しみ、それを黙認する官僚や検察や警察も全て腐っている。
例文5.家族の為にと雌伏の時をずっと耐えてきたが、このままではストレスで倒れてしまうと思い、一年発起して脱サラし田舎の山で農業をやる生活を選んだら、妻と子供達は東京に残ってしまい何事も上手くいかないと学んだ。
様々な状況での「雌伏」を使った例文です。
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雌伏の会話例
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コロナになってから、お店の売上は右肩下がりだな。
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本当ね。でもワクチン接種がこれだけ進み、アメリカは日常を取り戻しつつあって株価も上がっているし、後もう少しよ。今は雌伏の時だけど後ちょっとの辛抱ね。
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でもなー、俺はそんなに楽観的になれないよ。それに…、お前も少しは節約してくれよ。以前と同じままにエステ通いやヨガ教室に通うなよ。
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私はコロナ禍でも楽しもうと思って、以前通りの生活をしているのよ。それに経済を回しているんだから、セコイ事を言わないでよ甲斐性なし。
飲食店経営の夫婦がコロナ禍の厳しい売上について会話をしています。
雌伏の類義語
「雌伏」の類義語には、「時を待つ」「下積み生活」「牙を研いで待つ」「手ぐすねを引く」などの言葉が挙げられます。
雌伏の対義語
「雌伏」の対義語には、「雄飛」「飛翔」「躍進」「頭角を現す」「抵抗」「反抗」などの言葉が挙げられます。
雌伏まとめ
「雌伏」は雌鳥が小さいので雄鳥に従う事から、人に屈服して従ったり、或いは活躍する時が来るタイミングをじっと待つ事です。現在は力ある者の命令を聞くが、それは仮の姿であり時期を窺い隙があれば飛び立つという気概があるとも受け取れます。よって一般的には従うだけでなく、機会を待っている下積みや準備期間という使い方が多くなります。