静謐(せいひつ)
静謐という表現は、主に厳かな環境や雰囲気に対して使う言葉です。読み方は「せいひつ」です。純文学の小説を読んでいると、たまに見掛けることがありますが、前後の文脈でイメージは出来ますが、しっかりと理解をしておく事で情景をイメージしやすくなり、物語の深みが一層楽しめるのではないでしょうか。今回は静謐の意味や由来、類義語、対義語を交えて解説しています。
静謐の意味とは
静謐とは、穏やかで静まり返った様子を表す言葉です。格式の高い表現になるので、多少のことでは用いられない言葉だと言っていいでしょう。また、同様の意味を表現する言葉も多く、無理にこの静謐を使うことはないというのも、あまり見掛けることがない理由の1つです。小説中でも、堅い表現の多いものでないと、そうは使われていない言葉です。場所や情景、または世情に対して使う言葉で、人や何か(生物や動く物体)の様子に対してはあまり使いません。このように、使う場面や限定されていたり、前後の文脈が堅くないと、些か使い難い言葉となっています。
静謐の由来
静謐は、それぞれの漢字にほとんど一緒の意味があり、その組み合わせによって、更にそれを強調している言葉です。”静”は静かな、”謐”は穏やかな様を表していることが由来となっています。この言葉には、類義語が多くありますが、それらもこの静謐と同様に、同じような意味も漢字を重ねた言葉なのが特徴です。
静謐の文章・例文
例文1.あの神社の静謐な雰囲気は独特のものだ
例文2.静謐な環境を求めて、人気のない山里に旅立った
例文3.近くに大きなビルが建ってしまい、それまでの静謐さが失われた感がある
例文4.この静謐な世情が是非続いて欲しいと思っている
例文5.それほど静謐という訳ではないが、現在の環境がとても気に入っている
静謐は、比較的穏やかな世情に対しても使うことができます。戦争や内戦が治まった後の様子などに使われることがあり、その場合には、それまでとはうって変わって落ち着いたということを表現できます。
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静謐の会話例
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ずっと都会にいると、人とかコンクリートに疲れない?
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それわかります。
たまには温泉でも行きたいですよね。 -
温泉もいいんだけど、もっと静謐な山の中とかでゆっくりしたいね。
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いいですね!どこか探しておくので、今度行きましょう!
意味の解説でもあったように、荘厳さを感じるくらいの自然の中や場所を表すので、寺院や霊山といった場所に赴く際に使うといいかと思います。
静謐の類義語
静謐の類義語としては、「平穏」「平静」がとても近い意味の言葉です。どちらも静謐と同じように、静かで穏やかな様を表す言葉で、平穏は”平らな”+”穏やかな”となり、平静は”平らな”+"静かな”となるように、これらも似た静穏と同じく、似た意味の漢字が連なってできてている言葉です。静謐と比べると、より多くのシチュエーションにおいて使える言葉で、静謐より”しきいが低い”と表現していいでしょう。静謐は、これらの類義語の格式が高くなった(より厳格な表現として用いられる)言葉だと考えると分かりやすいと思います。また、”平穏な人”のように、人や何かの物体に普通に対して使えるところも、静謐との違いです。また他の言葉ですと「従容」「静寂」も比較的近い意味を持っており、類義語と言えるでしょう。
静謐の対義語
静謐の対義語としては、うるさくて騒がしい状況を表した「喧噪」「騒乱」などがあげられます。
静謐まとめ
静謐は、あまり使われる言葉ではありませんが、いざ使われると、その場面は厳かなものだと考えていいでしょう。口語としてはほとんど使われることはありませんが、文章中で見られる時には、その(厳格な)背景を是非思い浮かべて欲しい言葉だと言っていいでしょう。