首が回らない(くびがまわらない)
「首が回らない」という言葉を正しく使えていますか?
日本語の慣用句には、「足を洗う」「頭が上がらない」「耳が痛い」など、体の部分を含む言い回しが数多くあります。
その中でも「首」に関する慣用句がいくつかあり、「首を突っ込む」「首を切る」などの言い回しはよく聞きます。
首が回らないは誤解が生じやすい言葉です。この記事では、首が回らないの正しい使い方について解説します。
首が回らないの意味
首が回らないとは、「借金でお金のやりくりに困っている」という状態を指す言葉です。
一見忙しい時やてんてこ舞いしている時に使えそうな言葉ですが、実はお金がらみでしか使えません。
例えば、次の2つの文章を見比べてみましょう。正しい使い方はどちらでしょうか?
× 今月は残業時間が50時間を超えている。友達に遊びに誘われるが、忙しくて首が回らないので全部断っている。
〇 今月は残業時間が50時間を超えている。友達に遊びに誘われるが、そもそもそんなに働いても借金が完済できず首が回らないので、全部断っている。
1つ目の例は、「忙しさ」を首が回らないと表現しています。けれど、この表現は間違い。
2つ目の例は、忙しいけれど「借金が返せない」という状況を首が回らないと表現しています。こちらが正しい使い方となります。
首が回らないの由来
一説には、借金を負いすぎて、常に首回りが緊張しており、筋肉が硬直して首が固くなってしまう様子を「首が回らない」と表現したのだとか。
確かに、そんな状態ではリラックスしろと言われても難しいでしょうね。
首が回らないの文章・例文
例文1.無事卒業できたが、奨学金の返済に追われる日々。首が回らない
例文2.今の収入では首が回らない。どうしたものか
例文3.首が回らず悩んでいるようだったので、少しだけ返済期限なしでお金を貸してやった
例文4.今苦しくて首が回らないので、また今度にしてくれませんか
例文5.首が回らないのであれば、うちの親に相談してみるといい
お金のやりくり、しかも借金に困っている時に使うので、意外と使用状況は限定される言葉です。
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首が回らないの会話例
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困っちゃったよ。せっかく製品を納品したのに、なかなかクライアントからの振り込みがない。フリーランスはこれが大変なところだよな。
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あら。もしかしたら、永久に振り込みがない可能性もあるってこと?
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一応請求書は作ってあるから、それで売掛金を先払いしてもらえるサービスはあるけれど・・・。参ったよ。今月は開発に費用を回しすぎて首が回らないんだから、頼むから振り込んで欲しいね。
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踏み倒しされないといいわね。
会社のやりくりでは、このような事例がよくあるかもしれませんね。
首が回らないの類義語
首が回らないの類義語として、「火の車」「自転車操業」などが挙げられます。
火の車は経済状態が悪く、やりくりが難しい様。自転車操業は慢性的な赤字の中、ひたすらに借金を繰り返しながらその借金を返すために働く、という本末転倒な会社の経営状態を表す言葉です。
首が回らないまとめ
ついつい忙しい時に使いたくなってしまう言葉ですが、あくまで経済的な問題を抱えている人限定の言葉です。誤用しないように気を付けましょう。