檄を飛ばす(げきをとばす)
「コーチが選手に向かって、檄を飛ばしているようです。」この言葉を高校野球の中継で聞いたとしたら、コーチは選手たちに向かってどんな言葉をかけていると、あなたは思うでしょうか。
褒め言葉?叱り言葉?もし檄を飛ばしていたなら、どちらも正解かもしれませんが、どちらも間違いかもしれません。
今回はそんな間違えやすい言葉である「檄を飛ばす」について解説したいと思います。
檄を飛ばすの意味
「自分の考え方や主張を世間の多くの人に知らしめ、同意や決起を促すこと」が、意味となります。
「檄を飛ばす」の「檄」とは本来「檄文」という文書のことを指しています。古代中国で、招集や説諭(悪いことを改めるよう教えさとすこと)のための文書であり、実際に木札用いて書かれたといいます。
また、相手の悪い点を指摘し自分の良い点を述べて、他の人に同意を求めることや、自分の考えを世間に知らしめるための文書のことを「檄文」といいます。
上記のように、「檄を飛ばす」という行為は本来、檄(文書)を飛ばして(使用して)人々を集めたり、同意を得たりすることを指します。
よく「励ましの言葉をかける」や「怠けているところを叱ってやる気を出させる」という意味と間違えられることが多くありますが、実際に声に出して誰かを励ましたり叱ったりすることを指す言葉ではないのです。おそらく「叱咤激励」の「激」と「檄」の音が同じため、同じような意味として間違えて使用されるようになったのではないかと思われます。
檄を飛ばすの由来
「檄文」を急いで回すことを「飛檄(ひげき)」といいます。それを読み下し、「檄を飛ばす」という慣用句ができました。
檄を飛ばすの文章・例文
例文1.駅前で新しい政党を立ち上げた議員が、既存の法案について檄を飛ばしている。
例文2.明らかに彼より僕の方が生徒会長に向いていると、全生徒に檄を飛ばす。
例文3.檄を飛ばしたは良いが、果たして同意してくれる人はいるのだろうか。
例文4.私のようにお酒を飲めない人たちに檄を飛ばしたことで話し合いがあり、今回の飲み会は「お食事会」になった。
例文5.君は僕に檄を飛ばしてくれたが、残念ながら反対意見のようだ。
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檄を飛ばすの会話例
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来週から朝礼会が毎日になるんだって。出勤の30分前ぐらいに着いてなきゃ駄目なんだってさ。
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そうなの?30分前って早すぎるわ。家が遠い人もいるのに…
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僕も流石に30分前は厳しいな。みんなに檄を飛ばして、部長に反対の意を示そうよ。
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そうね、始業時間から30分を朝礼時間にすれば良いのよ。わざわざ時間を早める必要はないわ。
檄を飛ばすの類義語
檄を飛ばすの類義語は、行動を促すという意味では「発破をかける」や「尻を叩く」などが挙げられます。
檄を飛ばすまとめ
テレビの実況などでも解説の人が間違えて使用してしまったり、世論調査で67%の人が叱咤激励の意味だと誤用していることが判明したりなど、本当に間違えやすい言葉のようです。
叱咤激励の「激」とは漢字が違うことを覚えて、正しい意味で使用できるようにしましょう。