仁義(じんぎ)
「仁義」は、それこそ往年のヤクザ映画「仁義なき戦い」を思い浮かべる中高年が多いと思います。他にも名作フランス映画や漫画タイトル、Vシネマの場合はヤクザを題材にした大半が「仁義」がタイトル一部に使われる程にお馴染みとなっています。それだけ広く浸透していますが、そもそもの意味はどうもよく分かりませんよね。また、本当にヤクザが「仁義」を使うのかなど、意外に謎だらけです。そんな「仁義」について詳しく調べてみました。
仁義の意味とは
「仁義」の意味は以下の通りとなります。
(1)思いやり、情け等を意味する”仁”、人が守るべき正しい道の”義”からの「仁と義」。
(2)道徳上守るべき道筋や正しい道。
(3)他人に対する礼儀やつとめ、義理。
(4)ヤクザなども含めた賭博打ち・的屋など特殊業界における初対面時の挨拶や礼儀、道徳的な意味も持つ。
(5)儒教における最高徳目で根本理念。
上記の様な意味が「仁義」にはありますが、どうも分かり辛いのではないでしょうか。一般的にはヤクザ社会のルールや共通認識が「仁義」となりますが、本来は儒教からの教えなのは間違いありません。ここを理解しないと、ヤクザ社会の特有の縦社会が理解できず、つまり「仁義」もあやふやになります。”儒教”とは「仁・義・礼・智・信」の5つを「徳目」、さらに「父子・君臣・夫婦・長幼・朋友」からなる「五倫」があり、これが基本理念です。徳目の最初が”仁”で次が”義”になる事から、この二つを引用したのは確実です。さらに、詳しくは割愛しますが、”仁”は人を思いやる、”義”は人が守るべき道、そして”父子”や”君臣”は父親や上の立場の者には絶対服従的な意味も含んでいます。これらが現在にも通じるヤクザにおける「仁義」であり、一般人も理解できる「仁義」となります。よって、親分子分の関係性や親分や兄貴などの命令が絶対なのは儒教の教えでもあり、それをしないのは「仁義」に反する行為なのです。普通の感覚では理解し辛いが、儒教であり「仁義」の流れでは従うのが正しいのです。
仁義の由来
「仁義」の由来は、中国戦国時代の儒学者・孟子(もうし)による思想です。”四徳”から博愛の”仁”と正義の”義”を合わせた「仁義」を説く事で、人における人間性を完成させるとする考えです。また、この当時は「性善説」も込められていたが、日本に広まり特に江戸時代以降は博打打ちや職人などの親分子分に深く浸透する。そして現在は、上述したような意味もあるが、通常はヤクザ社会とセットの言葉として「仁義」が定着しています。
仁義の文章・例文
例文1.いかにも怖そうな人の前で、仁義についての会話などは絶対にできない。
例文2.最近はヤクザ社会も法律が厳しくなり、反社や半グレも登場し、仁義を大事にする社会とは言い難い。
例文3.仁義に熱かった友人は、高校を卒業後に某事務所に入り、今は電話番をしている。
例文4.ひと昔前の新宿歌舞伎町は、それこそ仁義を重んじる男だらけで、特に夜中歩くのは怖かった。
例文5.仁義とは思いやり、情けなどの意味だが、最近では怖いイメージが先行している。
「仁義」を使ったヤクザ社会についての例文です。
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仁義の会話例
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仁義っていう言葉は、結局どういう意味や使い方なんだろうね。
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本当は儒教からの有り難い教えなんだよね。でも、悪いけど日本では良いイメージがないよ!
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それはそうだね。仮に友人の家に遊びにいって、そこのお父さんが登場して見た目が本当に怖そう。それで、仁義を大切にしているか、と質問されたら震え上がるね。
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そうそう。だから、仁義がいくら良い意味があっても、日本では無理だよ。あまりにもヤクザ社会と密接な言葉としか想像できない。
「仁義」はヤクザ社会と関係深い言葉という会話です。
仁義の類義語
「仁義」の類義語には、「節義」「道義」などの言葉が挙げられます。
仁義まとめ
「仁義」は、思いやりや情けなどの意味があり、また他人への礼儀や道徳など儒教の流れを汲む言葉です。しかし、現在の場合は限りなくヤクザや裏社会用語という側面が強く、中国で誕生した頃とは大分違ってしまいました。根本には、思いやりや情け、他にも親兄弟を大事にするなど共通する部分が受け継がれているのですが、それでも一般人にとっては「仁義」は怖い言葉というのが実情です。