逆イールド(ぎゃくいーるど)
「逆イールド」は経済用語であり金融・証券用語の一つですが、滅多に見聞きする言葉ではありません。ある兆候が表れた特殊なタイミングが「逆イールドな状態」になるのですが、通常なら10年など長期間に一度あるかないかなので、この言葉だけを知らないで経済が詳しくなったとしてもまったく恥ずべき事ではありません。何しろ、不景気や景気悪化のサインと言われるサインが「逆イールド」なので、本来はこの様な状態が叫ばれない方が幸せなのです。
逆イールドの意味とは
「逆イールド」の意味は以下の通りとなります。
(1)不景気や景気低迷のサインとされ、長期間の債券が短期間の債券よりも低くなる状態。
(2)通常は長期金利が高く短期金利は低い「順イールド」だが、世界的な不景気などで長期的な希望が持てずさらなる景気悪化があると不安視されると、長期金利と短期金利が逆転して短期金利が長期金利を上回ってしまう「逆イールド」が発生する。
長期と短期の指標と言っても様々な種類があるが一般的には「国債市場」の事であり、世界的な経済の中心であるアメリカ国債で判断するのが常識です。その中で長期金利は10年物国債で、短期金利は2年物や3か月物となります。本来なら長期金利が高い「順イールド状態」で、この期間に多少株価が下がるや景気が悪いと囁かれても、国債市場まで影響を与える事はありません。しかし、10年ないし数十年に一度ぐらいのペースで金利が逆転する事が稀にあります。理由として挙げられるのは、アメリカの政策金利利上げが最も大きいとされ、米金利が上がると短期債券も上がり、そこに世界的な不景気などが絡んでくると長期金利の方が低くなる状況も起こるのです。近年では2008年9月リーマンショックや2019年8月にも「逆イールド」が起こったが、リーマンショック時は株価暴落となったが、今回は大きな混乱がなく収束した。市場関係者からは、「逆イールドは景気拡大期に起こる単なる現象で不安視する必要が無い」とも言われ、滅多に起こらない事から注目を集める「逆イールド」だが、実際は単なるサインでありその後、景気が良くなるか悪くなるかは誰にも分からないのが実態なようだ。それでも、稀に発生するので「景気後退の予兆」とする向きも根強く残っている。
逆イールドの由来
「逆イールド」について、由来などの詳細について判明していません。また、過去についても詳しく判明していませんが、アメリカの場合は1970年代後半から1980年代前半にかけて「逆イールド」になり、この時期は失業率も上昇し貸付組合が破綻するなど景気低迷が深刻な問題となっていた。それが、「逆イールド」に信ぴょう性を持たせる一つの要因となった。
逆イールドの文章・例文
例文1.逆イールドは景気低迷のサインとされるが、確実なものではない。
例文2.逆イールドが起こっても、株価下落などが起こるのは一年ほど経ってからなので、その間に景気が持ち直す事もある。
例文3.アメリカ以外が長短金利逆転する逆イールドになっても、正直あまり注目や話題にならない。
例文4.逆イールドの反対が順イールドだが、順イールドは大半の期間に当て嵌まるので、だから景気が良いとは言えない。
例文5.アメリカの政策金利の利上げが、逆イールドとなる最大の要因である。
「逆イールド」についての解説的な文章です。
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逆イールドの会話例
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株とか為替って、暴落の方が簡単に儲かるって言うよね!
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確かに投資の格言めいた言葉で多い気がするね。下がるのは一瞬だからね。
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じゃあ、暴落サインが出た時に売り建てすれば、短期間で大儲けが出来そうじゃない。俺、逆イールドを使ったとんでもない手法を思いついたんだ。
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それって、逆イールドの時に単に日経平均とかを売り建てするだけでしょう。でも、そんなに簡単に儲からないよ。やってみな!
「逆イールド」で大儲けが出来ると胸膨らむ男性に、そんな手法では儲からないと忠告する女性の会話です。
逆イールドの類義語
「逆イールド」の類義語には、「順イールド」「長短金利の逆転」などの言葉が挙げられます。
逆イールドまとめ
「逆イールド」とは、本来は長期間の金利が高いのだが、それが逆転して、短期金利が長期金利を上回る状態の事です。アメリカ国債の10年物と2年物(又は3か月物)を比較するもので、この時に短期の2年物の金利が上回ると、数十年単位に一度起こるかどうかの現象であるので、不景気や景気低迷のサインとして、金融や市場関係者だけでなく投資家などにも大きな驚きを与えます。しかし、「逆イールド状態」でも、必ずしも株価暴落などの景気低迷が起こるとは言えず、実際のところは五分五分で将来どうなるかは誰にも分からないので、重要サインではあるが暴落が来ると過信するのは禁物です。