職人気質(しょくにんかたぎ)
「職人気質」は有名な言葉なので、これまで何度も使った事があると思います。しかし、正しい意味で使ったと自信がありますか? 例えば、怖そうな男性に対して思わず「職人気質っぽい」など間違った使い方をしていませんか? この様な有名な言葉ほど、実はおぼろげであったり曖昧で都合良く解釈して使ってしまう事が多々あります。それでは、より詳しい解説を始めていきます。
職人気質の意味とは
「職人気質」の意味は以下の通りとなります。
(1)職人特有の性格や気質。技術に自信があり妥協や手抜きをしない性格や人柄。
(2)一見すると頑固や曲者に見えるが、仕事に誇りを持ち時には損得抜きで仕事をやり抜く。
”職人”には、器用な手先の技術によって生計を立てる人、かつては農業以外の手工業者という意味があります。そこから、頑固や偏屈などのイメージが定着したのは否めません。何よりも、昔は「職人気質」と呼ばれる仕事の代表である大工・左官などは男性の仕事であり、その後も肉体労働系は男性が圧倒的に多く働き、そこから「職人気質」とは逞しい男性が多いだけでなく、短気や粗暴、がさつなどのイメージが抱かれたのです。しかし、実際の意味としては上記のような、仕事にプライドを持ち妥協しないで真面目にこなす人です。ですから、現代ではかつての職人と呼ばれる仕事だけでなく、様々なジャンルの職場で「職人気質」と呼ばれる人を指す際に使われる傾向があります。共通するのは、主に男性に対して無駄口を叩かずに真面目にコツコツと励み、ある分野における技術や能力で一目置かれていると「職人気質」と呼ばれます。その一方、融通が利かない、妥協がないなど悪い意味や半分バカにした言葉として使用される事もあり、この辺りは発言した者にしか分からない関係性や現代ならではの事情もあるのでしょう。最近増えているコンピューターやIT系技術者、他にも医療などの分野も、「職人気質」な人が多いので、そこから「研究者タイプ」などの言葉とも同じように使われています。
職人気質の由来
「職人気質」の正確な由来は不明で、文献を辿ると小説家・幸田露伴の作品「風流魔」(1953年)で使用された一文があります。また、”職人”を手先の技術や工芸という意味で扱うとその歴史は大変古く、原始社会である3世紀ほどまで遡れます。その後平安時代の12世紀に入ると、職人の技術に対して賃金が支払われる事もあり技術や道具が格段に進化して、14世紀になると大工や左官が現代の職業的な扱いとなり、賃金はもちろん弟子なども存在して、領主の為に働くようにりました。外国の”職人”は割愛しますが、職人とは長い歴史がある複数の職業に対して使われるので、仮に「職人気質」が比較的現代だとしても、同様の意味が「職人」には込められていたと推測できます。
職人気質の文章・例文
例文1.父親は大工で職人気質な典型なので、食事中の私語は禁止など厳しいルールの元で育った。
例文2.職人気質でぶっきらぼうだが、一人の女性には優しいというタイプが、今はモテるそうだ。
例文3.職人気質とはお酒やギャンブルが好きそうな悪いイメージもあるが、最近の若者は職人でもそんな事はしないそうだ。
例文4.寿司屋や蕎麦屋の主人なども、職人気質っぽいイメージがある職業の一つだ。
例文5.職人気質な男性が笑うと、一気に場が和む。
「職人気質」なイメージから、良く使われそうな文章です。
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職人気質の会話例
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今度、生まれ変わったらサラリーマンではなく、大工さんになりたいね。
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どうしたの? 転職ではなく、生まれ変わったらの相談?
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そうそう。今の俺では、大工のようなハードな仕事は無理だからね。職人気質な人が多そうだから、休憩時間も緊張して怖そうだし。
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来世の生まれ変わりなのに、休憩時間を気にするの? 真面目何だか冗談だか分からないね。でも、確かにある程度体力がないと大工は無理だよね。職人気質な人があなたの動きを見たら、イライラしそうだし。
大工に憧れるが、「職人気質」な人が多そうという会話です。
職人気質の類義語
「職人気質」の類義語には、「職人肌」「職人芸」などの言葉が挙げられます。
職人気質まとめ
「職人気質」とは、職人特有の性格や気質を指す言葉です。実際のところは、見た目や経験で判断される事もありますが、所謂男性らしいがさつ・無骨な性格であったり、黙々と仕事をこなすタイプ、他にも一見すると怖そうな人も女性からしたら、「職人気質」と見られます。しかし、実際の中身は、仕事に熱心であり、技術や腕前に自信があるので妥協しないのが正しい「職人気質」となります。よって、怖そうなのもその一面であり間違いではないが、仕事ができるからこそ問題ない訳で、単に怖そうに見えて仕事が出来ない未熟者は「職人気質」とはなりません。