可塑性(かそせい)
可塑性とは外から力を加えて変形させると、その後も元に戻らない状態や性質を指す言葉です。耳慣れない言葉の可塑性ですが、実は最近注目を集める重要ワードの一つです。それは、記憶力向上をさせるには「シナプス可塑性」という脳機能を活用させるのが大事と発表され、たちまち注目を集めるようになったのです。他にも様々な意味がある「可塑性」について、解説をさせて頂きます。
可塑性の意味とは
可塑性の意味は以下の通りとなります。
(1)固体に外部から力を加えて変形させると、力を取り去った後も元に戻らない状態や性質。
(2)別名「塑性」とも呼び、永久変形する物質の性質で歪んだ固体の回復が一時的な事。
(3)神経は外界刺激に対して機能的や構造的な変化をしていて、これを「可塑性」や「神経の可塑性」と呼ぶ。その中でも「シナプス可塑性」という記憶や学習分野についてが重要とされる。
可塑性そのものが一般人には馴染みない言葉だと思いますが、要するに大きく二つに分類できます。一つは、固体に対して力を加えるとその後も元に戻らない性質の事で、これを可塑性や略した「塑性」となります。固体にある程度の力を入れると、変形した後も元通りになるが、その限界を越えた力を入れると変形したままで元通りにはなりません。これを”永久変形”や”永久歪”として、この状態になるまで必要な力を”弾性限界”と呼びます。二つ目が何かと注目を集める記憶や学習についての可塑性で、「シナプス可塑性」とも呼ばれています。元々は「神経の可塑性」に含まれる1分野だったのですが、神経科学として近年は徐々に解明されていくと、端的に言うなら「老いても記憶は鍛えられる」と発表されたので、一部では忽ち話題の言葉になったのです。これまで若いほど記憶や学習能力が高く、老いていくと体力同様に衰えるというのが常識でした。しかし、脳内の神経細胞”ニューロン”同士を結び付ける接合部「シナプス」が重要なカギで、要するにこの「シナプス」を鍛えると記憶や学習能力が高まるだけでなく、”ボケ防止”にも好影響となります。云わば、”能を健康にする行動”ともとれるのが「シナプス可塑性」で、その為には日々、健康的な食事や運動、趣味や生きがい、酒とたばこを控える、人との会話、睡眠など当たり前の生活が大事と説いていて、実践する事で「シナプス可塑性」が増強します。
可塑性の由来
個体への外部圧力で永久変形する意味での「可塑性」は、英語表記で「rheology」(レオロジー)で、1929年にアメリカ人科学者・ユージン・ビンガムが発見したものです。「脳可塑性」と「シナプス可塑性」はカナダの心理学者・ドナルド・ヘップが1949年に提唱したのが始まりとされています。
可塑性の文章・例文
例文1.可塑性の研究が進めば、将来は痴ほう老人が激減するかも知れない。
例文2.脳におけるシナプス可塑性をヘッブの法則とも呼ぶ。
例文3.受験勉強でイライラして思わず壁を叩いたら、その音の大きさで母親から、可塑性の実験なのと嫌味を言われた。
例文4.車の衝突事故などは、可塑性を的確に表現している。
例文5.誰もが優れた記憶力を身に付ける将来が、可塑性の研究によって現実のものになろうとしている。
固体の永久破壊と脳神経における「可塑性」についての例文です。
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可塑性の会話例
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未来の子供たちはいいよなー!
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どうして?
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だって、この前テレビでやっていたけど、脳の研究が進めば、可塑性によって誰もが学習能力や記憶能力レベルが向上するみたいなんだよ。テスト勉強での苦しみから解放されるって事でしょう。
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何をドラえもんののび太みたいなことを言っているの! 記憶力が多少良くなっても、子供や学生はどの時代も勉強するのは一緒だよ。
可塑性によって、未来の子供は勉強しないで済むと唐突もない事を言う男性に対し、正論を言う女性の会話です。
可塑性の類義語
可塑性の類義語には、「熱可塑性」「マインド食」「可鍛性」などの言葉が挙げられます。
可塑性の反義語
可塑性の反義語としては「弾性」「可逆性」などが挙げられます。
可塑性まとめ
可塑性とは、最近何かと注目を集める記憶や学習能力向上を意味する「神経の可塑性」の「シナプス可塑性」と、固体に過剰に力を入れて元通りに戻らない”永久変形”を意味する二つの意味があります。近年は「シナプス可塑性」を指す場合が多いですが、どちらも重要な言葉なので両方の違いを覚えておくと混乱する事もありません。