訝しむ(いぶかしむ)
「訝しむ」とは「不審に思うや怪しい、信用できない」といった意味合いです。近所に怪しい人がいたら、どうしてもそんな感情が芽生えてしまいますいよね。そんなハッキリと断定は出来ないが、本能的な直感めいた危険シグナルを「訝しむ」と言います。警察小説やサスペンス物などで多く使われる表現なので、知っている人も多いでしょう。一方、なんとなく感覚的に覚えている人も多いと思うので、詳しい解説をさせて頂きます。
訝しむの意味とは
「訝しむ」の意味は以下の通りとなります。
(1)不審に思う。
(2)怪訝。不可解。納得できない。
(3)怪しい。信用できない。不信感がある。
「訝しむ」は端的に言うなら、不審に思う・怪しい・不可解といった意味合いの言葉です。例えば、夜中に妙な男が歩いていたら、刑事などは怪しいと思うものです。そんなどうも怪しい、疑わしいという感覚めいた言葉が「訝しむ」です。従って、直感的なものなので実際には怪しそうでも、実はまったく問題がない事も多々あります。また、刑事など専門家や経験ある人は怪しいと感じても、一般人など素人はその疑わしい人を何とも思わないものです。そんな人によって捉え方が違ったり、決定的な証拠はないので経験や勘による不審に感じるのが「訝しむ」です。従って、憶測的な判断や疑問という感じになり、漠然とした不信感ともなります。”訝”は「訝る」「疑う」「怪しむ」「人を迎える」「人を労う」となり、実は怪しむだけでなく信用して労う意味合いもあります。ですから、「訝しむ」は怪しいと思いつつも完全には断定できない状態とも解釈できそうです。
訝しむの由来
「訝しむ」の”訝”は大昔は「いふかし」と読み、物事がはっきりしない状態を明らかにしたいという感情でした。それが年月を得て、現在の不審や疑わしいという意味合いに変化していきます。文献としては、奈良時代の歴史書「日本書記」(720年)などに文言が記されています。
訝しむの文章・例文
例文1.夜中に庭から物音がしたので、訝しむ気持ちで窓からのそっと覗いてみたら、小さな野良犬がいただけだった。
例文2.近所に住むAさんは毎日自宅に籠りっきりで髭面な外見もあって、周囲から訝しむ存在だったが、実は有名な音楽プロデューサーで業界の有名人だったと知り住民達は恥ずかしさでざわついた。
例文3.妻の手料理が急に上達し、何より化粧や下着は派手な物に変わり、いよいよ浮気が本格化したと訝しむ気持ちを優に超えて決定的になった。
例文4.久しぶりに東京に出向き地下鉄に乗り込むと、あの最悪な事件が再び起こるのでと予感から、傘を持ち歩く男を見るだけで訝しむそんな自分が嫌いだ。
例文5.昭和の時代は自宅への悪質な訪問販売が横行し、今では考えられない怪しい営業マンがやってくるので、それこそ主婦が訝しむ気持ちとなるのは日常だった。
不審者や怪しい人などで「訝しむ」を使った例文です。
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訝しむの会話例
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どうした? 大丈夫だった?
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ごめんね。心配かけて。今はあなたも来てくれて、落ち着いてきた。
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あんな声で電話してきたら、それはパチンコも止めて急いで帰ってくるよ。ところで、一体何があったの?
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スーパーで買物をしてレジに並んでいたら、後ろにどうも怪しい男がいて、その男が帰り道も私の後をずっとついてきて…。一度そう思うと、訝しむ気持ちが一杯で恐怖から電話したの。
妻が買物帰りに怖い思いをして、旦那に助けを求めたという内容です。
訝しむの類義語
「訝しむ」の類義語には、「疑惑」「警戒」「不信」「怪しい」「疑念」などの言葉が挙げられます。
訝しむまとめ
「訝しむ」は怪しい人などを不審に思う事で、他にも怪訝や不可解や胡散臭いなどの意味合いの言葉です。一方で感覚的な表現でもあるので、どうしても見た目や経験則から判断しがちとなるのは否めません。従って、不審な人その者やそんな人が起こす態度などに起こる感情であり、どうも怪しいと感じる本能的な思いが「訝しむ」です。