海千山千(うみせんやません)
海千山千とは、長年の経験によって裏事情まで精通しいるような悪賢い人を表す言葉です。日常に馴染んだ故事成語やことわざは多くありますが、その由来や意味をきちんと理解している人は意外と多くないのではないでしょうか。正確に理解していないまま使ってしまうと、うっかり相手に意図しない悪印象を与えてしまう可能性もあります。「海千山千」もそういった扱いの少し難しい言葉の一つです。一度正しい意味を確かめてみましょう。
海千山千の意味とは
海千山千(うみせんやません)とは、長い年月で経験を重ねた、賢明な人物を評する時に使われる言葉です。経験や知識が豊富という意味も含んではいますが、どちらかというと長い時間で世の酸いも甘いも知り尽くし、裏事情にまで深く精通している、悪賢くしたたかである、といった意味合いになります。単純に相手を褒めるというよりは、良くも悪くも知恵の働く、老獪で抜け目のない人物といったニュアンスです。
海千山千の由来
この言葉は特定の故事が由来ではありませんが、古くからの言い伝えから生まれたものです。
「海千山千」とは海で千年・山で千年生きる事を指し、それだけ長く生きた蛇は竜になれるという伝承からきています。転じて、長い年月をかけて経験を積み、知恵を蓄えた人物を指すようになりました。
由来の伝承では「立派な竜に成長する」という意味ですが、海千山千は上記の説明で述べたようなマイナスの意味合いも多く含む言葉です。
海千山千の文章・例文
例文1.あの社長は海千山千の商売上手だ
例文2.海千山千の彼であれば、どんな状況でも上手く立ち回れそうだ
例文3.今回の取引相手は海千山千の相手、簡単にはいかないだろう
例文4.海千山千の強豪たちに囲まれて、自分は立ち向かって行けるだろうか
例文5.海千山千の人と聞いて恐々としていたが、会ってみると気さくな人だった
このように、ただ相手の能力を評価するだけでなく、一筋縄ではいかない相手、敵に回したくない相手といったようなニュアンスになります。
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海千山千の会話例
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午後の営業、取引先の社長には気をつけろよ
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何かあるんですか?
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海千山千の人だと噂を聞いたんだ、気づかないうちにこちらに不利な契約になるかもしれないぞ
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ええ、そうなんですか・・・不安になってきました!変わってくださいよ!
海千山千を用いた会話の例になります
海千山千の類義語
海千山千の言い変えとして「海に千年、山に千年」「海千河千」などがあります。いずれも由来は海千山千とほぼ同じです。
また似た言葉として「百戦錬磨」がありますが、こちらは海千山千のような悪い意味合いはなく、純粋に相手の経験豊富さを讃える言葉になります。
海千山千まとめ
経験の深さを讃える言い回しはいろいろとありますが、海千山千はどちらかというとあまり良い意味のない、相手を揶揄するような意味合いの強い言葉です。うっかり相手を褒めるつもりで使ってしまうと、かえって気を悪くしてしまうこともあります。そういったことのないように正しく使い分けましょう。