綱渡りより世渡り(つなわたりよりよわたり)
「綱渡りより世渡り」とは「曲芸である綱渡りよりも社会生活を送る世渡りの方が難しい」という意味です。社会に出て一端になるのは実に大変で困難であると、まるで気苦労を労うような言葉になっているのが今回の「綱渡りより世渡り」ですが、その人の現在の境遇によって共感したり反感すると思います。「人生は余裕」と感じる人も当然多いでしょうが、しかし突然仕事がクビになったり病気になれば一気に社会は困難であると実感する事でしょう。弱者を知るには、己もその位置に落ちないと実感は難しいのです。では「綱渡りより世渡り」の解説となります。
この記事の目次
綱渡りより世渡りの意味とは
「綱渡りより世渡り」の意味は以下の通りとなります。
(1)大変危険である綱渡りよりも、世渡りの方が実は難しいという事。
(2)修行を要する綱渡りよりも、社会の処世術である世渡りの方が極めるのが難しいという喩え。
”綱渡り”は「空中に張った綱の上で芸をして渡る事」「危険をおかして物事を行う」、”世渡り”は「社会の中で生活する」「世間で暮らす」で、危険行為である綱渡りよりも世渡りの方が大変であったり難しいと説いているのが「綱渡りより世渡り」です。それぐらい人生とは上手に生きていくのが難しいのです。世渡りが上手いのは一種の才能と喩えられるので、この点からも綱渡り同様に社会を生き抜くのは才能がものを言うのです。因みに”世渡り”に関する諺は多数あり、有名なのは「渡る世間に鬼はない」「八方美人」「商い三年」「風が吹けば桶屋が儲かる」「二束三文」などがあります。
綱渡りより世渡りの由来
「綱渡りより世渡り」の由来は残念ながら不明ですが、”綱渡り”の歴史として元々は古代中国で「雑技」と呼ばれてる曲芸で、それが奈良時代頃に日本に伝来しました。当初は二本綱の上を歩いていましたが、後に現在の一本綱へと変わっていきます。”世渡り”に関しては不明です。
綱渡りより世渡りの文章・例文
例文1.今は亡き両親が何度も口酸っぱくなるほど、綱渡りより世渡りと叩きこまれてきたので、現在はいくつもの国家資格のお陰で安泰な日々を送っている。
例文2.綱渡りより世渡りと人は言うが、自己破産した俺にとっては不渡りの方が何倍も恐ろしかった。
例文3.上京して生活費をバイトで稼ぎながら大学に通う日々になって、初めて綱渡りより世渡りが身に沁みた。
例文4.綱渡りより世渡りよりも、妻の機嫌を取る方が難しい。
例文5.一生底辺でいいと覚悟を決めたのなら綱渡りより世渡りとはならないが、多少なりとも上昇志向があるなら今の時代は生き辛いと感じるだろう。
人生の教訓めいた「綱渡りより世渡り」を使った例文となります。
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綱渡りより世渡りの会話例
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また、会社をクビになりそうだ。
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ちょっとしっかりしなよ。今度は何をしたの?
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営業先に行く途中で時間に余裕があったから思わずパチンコ店によって、そのままもう少しって粘って打っていたら約束時間に遅れて…、後は上司から詰問されて、最初は嘘を吐いていたんだけど、GPSで行動監視をしているって知らされて…。
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もう何やっているの! 自業自得だけど、働くのは大変って事だよね。綱渡りより世渡りって言葉が身に沁みているんじゃない。
仕事をサボっていたのがバレてしまいクビになると不安がる男性とフォローする知人女性の会話です。
綱渡りより世渡りの類義語
「綱渡りより世渡り」の類義語には、「世渡り下手」「要領が悪い」「社会生活を送れない」「社交性が身に付かない」などの言葉が挙げられます。
綱渡りより世渡りまとめ
「綱渡りより世渡り」は素人には大変難しい綱渡りよりも、実は社会生活を送る世渡りの方が難しいという意味合いの言葉です。会社で働き、そして円滑な人間関係をきちんと何年、何十年と送り続けるのは命懸けの曲芸よりも大変であり苦労が伴うものなのです。