女賢しくて牛売り損なう(おんなさかしくてうしうりそこなう)
「女賢しくて牛売り損なう」とは「賢そうな女性が牛の売り時を失敗した事から、女性とは大局を見通せず失敗が多い」という意味です。男性の方が優秀で女性は劣るという昔ならではの非常に偏った考えですが、それが諺として残っているのですから、男尊女卑的な思想とは相当深く根付き浸透していたのでしょう。時代によって常識や価値観がまったく変わってしまう典型的な言葉「女賢しくて牛売り損なう」の解説となります。
この記事の目次
女賢しくて牛売り損なうの意味とは
「女賢しくて牛売り損なう」の意味は以下の通りとなります。
(1)女性は利口なようでも大局を見通す力がなく、目先の欲によって物事を遣り損なう喩え。
(2)飼い牛を売る時に少しでも高く売ろうとして不必要な事を女が言ってしまって売り時を逃した事から、転じて、賢いと出しゃばる女は結果的に失敗をしてしまう喩え。
(3)「女賢しゅうして牛売り損なう」も同義。
”女”は「女性」「子供を産む方」「成熟した女性」「愛人」「妻」、”賢しく”は「賢明」「気丈」「小賢しい」、”牛”は「ウし科の哺乳類」「牛肉」、”売り損なう”は「物を売却するのに失敗する」「売るのをだめにする」で、女性が賢いと出しゃばった為に朝知恵が見透かされて物事を失敗するのが「女賢しくて牛売り損なう」です。簡単に言えば「女性の能力は男性よりも劣る」や「女性は失敗が多い」と嘲る言葉で、現代では男尊女卑の典型として強く非難されるでしょうが、当時はこのような言葉が蔓延していたのです。さらに深掘りすると、大昔は男性の方が学習を受ける機会が多く、また商売でも中心となっていたので、偶に女性が男性のような働きを見せると、揚げ足を取ろうとする男が多かったのでしょう。そんな時代背景なので、女性が利口に振る舞おうとすると達者な男達から上手くやられて、牛の売却で失敗をした女性の姿から誕生した言葉となったようです。
女賢しくて牛売り損なうの由来
「女賢しくて牛売り損なう」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては室町時代に誕生した三味線音楽「浄瑠璃」の「出世景清」(1685年)などに文言が記されています。
女賢しくて牛売り損なうの文章・例文
例文1.性格が悪い女性上司に一言、女賢しくて牛売り損なうと嫌味を言ってやりたいが気弱なのでとてもじゃないが無理だ。
例文2.料理や買物で失敗が多い母親に「女賢しくて牛売り損なうって知ってる」と言ったら、「ニートは黙れ」と逆ギレされた。
例文3.女賢しくて牛売り損なうと男性コメンテーターが発言したら、今なら炎上騒動に発展して謝罪するまで仕事復帰ができない事態になるだろう。
例文4.物事を俯瞰的に見れないと、男でも女でも、女賢しくて牛売り損なうという諺のようになる。
例文5.女賢しくて牛売り損なうではないが、日本の上場企業の役員や政治家に女性が少ないのは社会全体が男尊女卑を引きずっているからである。
現代の男女の立場から「女賢しくて牛売り損なう」を使った例文です。
- [adsmiddle_left]
- [adsmiddle_right]
女賢しくて牛売り損なうの会話例
-
今日は一段と荒れているね。仕事で何かあった?
-
本当に、頭の固い昭和脳な男共と仕事するのは大変! もう嫌になる。
-
家に帰ってまで、そうカリカリしないで落ち着いて。
-
自分の失敗を棚に上げて、私の些細な失敗は女賢しくて牛売り損なうって笑うのよ。こっちはあんた達の何倍の仕事量をこなしていると思っているのよ。
自宅で仕事のストレスを夫にぶつける妻という内容です。
女賢しくて牛売り損なうの類義語
「女賢しくて牛売り損なう」の類義語には、「女が口上使えば牛の値が下がる」「女の知恵は鼻の先」「女の利口より男の馬鹿がよい」などの言葉が挙げられます。
女賢しくて牛売り損なうの対義語
「女賢しくて牛売り損なう」の対義語はありませんが、強いて挙げるなら「女の一年岩をも通す」などは比較的に反対の意味合いとなります。
女賢しくて牛売り損なうまとめ
「女賢しくて牛売り損なう」は女性が利口ぶって出しゃばると失敗をするという喩えです。現在なら女性蔑視や軽視の対象となりますが、当時はこのような諺がとても多くありました。男性が優秀で女性は劣等とする考えから、物事を相対的に見られない女性は失敗や間違いをすると決めつけています。