満更でもない(まんざらでもない)
「満更でもない」とは「それほど悪くない、かなり良い等の微妙な肯定表現」です。何かを気に入った場合、子供は無邪気に「大好き」「嬉しい」と感情を爆発させますが、大人になるにつれて思惑なのか気まぐれなのか含みを持たせるようになりますよね。まるで官僚や役人のような抽象的で煙に巻くというのか、その方が賢くて絶妙だと勘違いをしているのでしょう。「満更でもない」もそんな一つで、なかなか難しい表現とされ素直に受け止めるべきなのか考えてしまいます。それでは、解説に入らせて頂きます。
満更でもないの意味とは
「満更でもない」の意味は以下の通りとなります。
(1)それほど悪くない。必ずしも悪くない。
(2)悪くないどころか、かなり良い。
(3)嫌いや悪い訳ではなく、どちらかと言うと満足できるとする微妙な肯定。
”満更”は「全く」「ひたすら」「否定を打ち消す語」「満更でもないの略」、”でもない”は「ふさわしくない考え」「むしろそうではない」「その事を否定しながら他の事も否定する」で、否定を打ち消して肯定的なニュアンスとなるのが「満更でもない」です。要するにやや捻くれた褒め言葉で、素直に良いや素晴らしい等と絶賛しても良いのですが、こちらのプライド高さなのか単に表現の一つなのか、或いは気分屋だからなのかは定かではないですが、どんなに気に入っていても「満更ではない」と好んで使う人もいます。特に相手よりも年齢や立場が上だと「満更でもない」とする事で、微妙な心情を逆に汲み取ってもらうように含みを持たせるのに効果を発揮できます。さらに深掘りすると、素晴らしい等で簡単に大絶賛をすると、後から発覚した不満を言い辛い点もあります。だから「満更でもない」とすると「悪くなく」、それどころか「気に入っている」となります。しかし、日本語が難しいのは、あまり気にいっていなくても完全に不満ではないので妥協として「満更でもない」とする場合もあり、この場合は発言者の気遣いからですが、受け手は素直に「悪くない」「良い」とも解釈ができてしまい、本心を窺い知る由はなくなります。
満更でもないの由来
「満更でもない」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては江戸時代中期の小説集「洒落本」の「傾城買四十八手」(1790年)などに文言が記されています。
満更でもないの文章・例文
例文1.人気の蕎麦屋でそば粉100%の十割そばを一口食べた評論家が、満足気な表情で感想を一言「満更でもない」と発し、御主人が嬉しそうに「ありがとうございます」とするやり取りは、英国育ちの俺からしたら非常に芝居がかって見るに堪えない。
例文2.傲慢な世襲がどれだけ献金を貰っても、満更でもないを表情でニヤついていると思うと蹴り倒したくなる。
例文3.コンビニ飯を否定する人も多いが、網走刑務所育ちとしては満更でもない味付けで日々美味しく利用している。
例文4.地方の中小企業とはいえやっと再就職が決まったので満更でもなくご満悦だったが、働き始めて数日後にフロント企業だと知ってからは毎日冷や汗が止まらなくなった。
例文5.都知事の公約は全て「目指す」なので就任初日で達成済みとなり、流石天下の大都市の東京都民もこれには満更でもない喜びようだ。
嬉しいや悪くないとして「満更でもない」を使った例文です。
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満更でもないの会話例
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いやー笑った。流石にM-1グランプリに出場する漫才師はどれもレベル高くて面白いね。
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そうね。大変面白いわ。
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その割には本気で笑っていないよね。
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そう? 面白いわよ。面白いけど、満更でもないって感じよね。期待して見なければ面白いけど、ハードルを上げて見るとまったく面白くない。笑わすネタじゃなくて変わったネタを真面目に作りましたっていうだけで、それを全面擁護する審査員も含めて満更でもないって感じよね。
漫才師のネタについて夫婦の意見が食い違うという内容です。
満更でもないの類義語
「満更でもない」の類義語には、「悪い気はしない」「意外と良い」「高評価」「意外と良い」「文句ない」「少し良い」などの言葉が挙げられます。
満更でもないの対義語
「満更でもない」の対義語には、「悪い」「ダメ」「論外」「問題外」「良くない」「及ばない」「劣る」などの言葉が挙げられます。
満更でもないまとめ
「満更でもない」は悪いやダメという訳ではなく、それどころか良いやかなり良いという意味合いの言葉です。かなり微妙な表現で「悪くなく良い」なら絶賛とも受け取れますが、一概にそうとは言い切れず、発信者の思惑から敢えて含みを持たせる肯定として「満更でもない」となります。