鯛の尾より鰯の頭(たいのおよりいわしのかしら)
「鯛の尾より鰯の頭」とは「高級魚の尾と大衆魚の頭から、大きな集団の末端よりも小さな集団の先頭に立つ方が有意義とする教え」です。人によって考えはそれぞれなので、末端でも大きな集団に属する方が安心安全とする声もあるでしょう。しかし、それだけで一生を終えてしまうのは少々勿体ないのではとする声も理解できますよね。どちらが正解なのかは分かりませんが、独立願望が高い人には胸に刺さる「鯛の尾より鰯の頭」の解説となります。
この記事の目次
鯛の尾より鰯の頭の意味とは
「鯛の尾より鰯の頭」の意味は以下の通りとなります。
(1)大きな団体や集団の末端よりも、小さな団体の指導者になる方が良いとする喩え。
(2)高級魚の鯛の尾と大衆魚の鰯の頭から転じて、小さな団体の先頭に立つ方が良い事。
(3)「鯛の尾より鰯の頭に付け」も同義。
”鯛”は「タイ科の海水魚」「縁起が良い高級魚の代表」、”尾”は「魚の尾びれ」「終わりの部分」、”鰯”は「ニシン科の海水魚」「大衆魚の代表」「鈍刀」、”頭”は「体の上端や前端部分」「主となる人」「髪や頭髪」「脳の働き」で、高級魚である鯛の最後尾となるよりも大衆魚の鰯の先頭に立つべきとする教えが「鯛の尾より鰯の頭」です。これを現代事情に当て嵌めると、大企業に所属しても末端で何も出来ないなら、中小企業でしがらみなく自由であったり、脱サラして好きなように働き一国一城の主に君臨した方が有意義であり充実しているといった感じになります。さらに深読みするなら、大きな集団に属するのは安全でありメリットも大きいですが、それよりも自らがトップとなって果敢に挑戦すべきという教えとも解釈ができます。男性はとかく夢を見がちなので、一度はサラリーマンとなってもその後脱サラをする時などに用いられる事が多い言葉となっています。
鯛の尾より鰯の頭の由来
「鯛の尾より鰯の頭」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては江戸時代の国語辞典「俚言集覧」(1797年)などに文言が記されています。
鯛の尾より鰯の頭の文章・例文
例文1.父親や叔父が鯛の尾より鰯の頭と何度も言ったのが、40の大代に突入し残り人生が短くなって初めて真意に気が付いた。
例文2.鯛の尾より鰯の頭は正に男としての理想だが、この荒れ狂う厳しい時代はどうしても守りに入ってしまう。
例文3.欧米人などは鯛の尾より鰯の頭という意識が強そうだが、安定を好む日本人はそうはいかないだろう。
例文4.鯛の尾より鰯の頭、大企業で万年平としてあくせく働くよりもラーメン屋などで独立してオーナーとなる方が満足度は高いだろう。
例文5.鯛の尾より鰯の頭と妻にそれとなく将来の独立を匂わせたら、「勝手な事をしたら即離婚」ときつく言われて早くも萎えてしまった。
理想や現実として「鯛の尾より鰯の頭」を使った例文です。
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鯛の尾より鰯の頭の会話例
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俺は男の中の男だから、このまま人に使われて終わるのは嫌なんだよ。分かるだろ?
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それで、何?
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あのー、だから…、何と言いますか…、鯛の尾より鰯の頭って言うじゃない。将来的には独立をしたいなー、なんて少しだけ思ったり思わない今日この頃です。
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いいから、早く会社に行かないと遅刻するわよ。
小心者の夫が妻に独立を匂わせますが、あっさりと撃沈するという内容です。
鯛の尾より鰯の頭の類義語
「鯛の尾より鰯の頭」の類義語には、「大鳥の尾より小鳥の頭」「鶏口となるも牛後となるなかれ」「鶏口牛後」などの言葉が挙げられます。
鯛の尾より鰯の頭の対義語
「鯛の尾より鰯の頭」の対義語には、「服従」「寄らば大樹の陰」「長いものには巻かれろ」などの言葉が挙げられます。
鯛の尾より鰯の頭まとめ
「鯛の尾より鰯の頭」は大きな団体の末端でいるよりも、小さな団体でも自らが先頭となり引っ張る存在になった方が良いという意味です。脱サラを希望する人の背中を押すような言葉として有名で、人の下で働くよりも自らが社長や経営者となる方が満足度が高いのでしょう。