マネタリーベース(Monetary Base)
「マネタリーベース」とは「日銀が供給する通貨量(資金量)で、世の中の現金と日銀当座預金の合計」です。類似である「マネーサプライ」(正式にはマネーストック)は日銀ではなく民間の金融機関による通貨量で、一方の「マネタリーベース」は日銀となるので、中央銀行が関係するか否かが大きな違いとなります。しかし、実際のところは「マネーサプライ」も政府や日銀が大きな影響を与えるのは間違いなく、大差がないとも理解できます。それでは景気や経済に大きく関与する「マネタリーベース」の解説を始めさせて頂きます。
この記事の目次
マネタリーベースの意味とは
「マネタリーベース」の意味は以下の通りとなります。
(1)中央銀行である日銀が供給する通貨総量の事。
(2)日銀が直接的に供給するお金で、紙幣と貨幣と日銀当座預金の合計。
(3)「ベースマネー」「ハイパワードマネー」「資金供給量」も同義。
”マネタリー(monetary)”は「通貨」「貨幣」「金銭」、”ベース(base)”は「基礎」「拠点」「土台」で、直訳すると「通貨の基礎」「通貨の拠点」となり、要するに千円札や1万円などの紙幣(銀行券)と1円や500円玉など貨幣(コイン)の発行高に、金融機関が日銀に預けている当座預金残高の合計が「マネタリーベース」です。「マネタリーベース」は景気動向で使われる事が多い経済の専門用語で、政府は景気状況を鑑みて市場に流れる現金をコントロールするので、一般的には景気が良い時は行き過ぎた過熱を抑える役目として「マネタリーベース」を少なくし、逆に景気が悪い時は市場に現金を流すので「マネタリーベース」を増やします。過去と現状から分析すると、2021年10月の「マネタリーベース」は紙幣が約116兆円、貨幣は約5兆円、当座預金は約538兆円で合計660兆円になります。そして2011年4月時点では合計が110兆円なので、約10年間で6倍も「マネタリーベース」は増加しましたが、それが景気に良い影響を与えたとは言えず、それどころか賃金は横ばいで増税を繰り返し、また、単純には通貨が多くなるのはお金の価値を下げる事に貢献をしているとも見て取れます。補足として、かつての安倍政権が実行してきた金融政策の量的緩和は日銀が国債を買い取り市場に資金を大量供給する「マネタリーベース」を極端に増加させる手法ですが、結果として大企業の株価を押し上げる効果はありましたが(アメリカ経済や外国人投資家の買いが株価上昇に反映しただけ)、繰り返しですが日本のデフレ脱却には効果はなく、それどころか通貨の価値を無理やり下げたとも受け取れ、突き詰めれば近年の円安になった要因ともなります。まとめると、どんなに政府が景気刺激策を導入しても物事はそんなに簡単ではなく、大量資金を投入するだけで景気上昇するなら自国通貨を発行する国ならどこでも実行でき、またユーロを導入するEUの存在意義を否定ともなります。
マネタリーベースの由来
「マネタリーベース」の由来は残念ながら不明です。因みに日本では日銀が1970年1月から不定期で「マネタリーベース」のデータを取り始め、1996年7月から毎月末の残高を公表するようになりました。
マネタリーベースの文章・例文
例文1.マネタリーベースは今後も増え続けるだろうが、その先には一体どんな未来が待っているのか経済の専門家ですら絶対に分かっていないのだろう。
例文2.国債を発行してお札を刷りまくれば錬金術としてマネタリーベースは上昇の一歩なので、その内にお札を刷ってもデータを改ざんする国になるのではと不安に思う。
例文3.子供の内に学校の授業でマネタリーベースなどを教える必要があるだろう。
例文4.コロナ禍で景気が悪くなり、対応策としてマネタリーベースを増やすのはいいが、それをいつまで続けるのかが問題だ。
例文5.アメリカがマネタリーベースを増やしている限り、日本も追従するしか道はないのも一応は理解はできる。
経済問題に「マネタリーベース」を使った例文です。
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マネタリーベースの会話例
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経済ニュースをチェックしたんだけど、マネタリーベースがずっと増え続けているみたいだね。
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マネタリーベースって、市場に流れるお金って事だったわよね。ならジャブジャブな金余りな世の中なのに、私達にお金が回ってこないのは何故よ?
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うーん難しいけど、人々がお金を使わないから回らないって事かな?
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結局はそうよね。銀行が企業や個人にお金を貸し出そうとするけど、誰も借りない。それは借りても返せないと思うから借りないという悪循環があるのよね。経済や景気って難しいわね。
景気や「マネタリーベース」についての男女の会話風景です。
マネタリーベースの類義語
「マネタリーベース」の類義語には、「マネーサプライ」「マネーストック」「強力通貨」「高権貨幣」などの言葉が挙げられます。
マネタリーベースまとめ
「マネタリーベース」は日銀による資金量の事で、紙幣と貨幣と日銀当座預金の合計です。別の表現なら、市場に出回っている現金と金融機関が日銀に預けている当座預金の合計となり、日本など軒並みの先進国の「マネタリーベース」は年々増加する傾向になっています。景気刺激策として「マネタリーベース」を上げるのは一定の効果があるとされてきましたが、実際には株価を上げるしか影響はなく、逆に大量の資金が膨れ上がり通貨の価値を下げる弊害が大きくなっています。