不退去罪(ふたいきょざい)
「不退去罪」とは「他人の住居や公的施設に入り管理者などからの退去要求に応じない犯罪」です。要するに居座りなど迷惑行為に対する罪名が「不退去罪」で、これだけでは凶悪な重要犯罪とは言えませんがその前兆とする向きもあります。それでは「不退去罪」の解説となります。
不退去罪の意味とは
「不退去罪」の意味は以下の通りとなります。
(1)他人が住居や建造物から退去を要求されても、正当な理由なく退去しない犯罪。
(2)最初は適法で建物などに入ったが、管理者などから退去を要求されても居座り続ける犯罪。
”不退去”は「立ち去らない」「立ち退かない」「退去しない」、”罪”は「法則を犯す」「法律に反する行為」「法律違反で受ける罰」「結果に対する責任」で、立ち退き要求に従わない犯罪行為が「不退去罪」です。「住居侵入罪」と「建造物侵入罪」も「不退去罪」と似ている部分もありますが、他人が住む住宅や公的な建物などに主に窃盗などの目的で侵入するのが「住居侵入罪」と「建造物侵入罪」で、適法で公共機関などに入った後に退去要請に応じないのが「不退去罪」です。一部例外的なケースもありますが、よくあるパターンとして下着泥棒や窃盗などが「住居侵入罪」又は「建造物侵入罪」で、役所や学校内トイレに立て籠もったり駅構内でビラを配り退去を求められても拒否すると「不退去罪」となります。よって、「不退去罪」で逮捕されるのは珍しいケースなので、事件が起こるとニュースなどで大きく取り上げるので記憶に残っている人も多くなります。他にも、飲食店に居座り続ける迷惑な客、一昔前ならしつこい訪問販売なども「不退去罪」として悪質なら現行犯逮捕されます。しかし、住民や管理者に暴行などを加えない限りは立件されるのは非常に稀で、大半は執行猶予となり釈放されます。もちろん常習犯であったり業務妨害罪など別の犯罪とセットになれば別ですが、実際のところは軽い犯罪として扱われるのが実情です。
不退去罪の由来
「不退去罪」は明治40年に制定された刑法130条後段に規定され、3年以下の懲役または10万円以下の罰金となります。因みに”退去”の文献としては、室町時代の古典文学「太平記」などに文言が記されています。
不退去罪の文章・例文
例文1.休日上野駅に行ったら、活動家のような人達が熱心にビラ配りをしている最中で、その集団を取り囲むように相棒のような国家権力の制服組が見守っていて、もう少しで不退去罪となる瞬間を目撃できると思ったが、我関せずで目的のガード下の飲み屋を目指した。
例文2.近年ニュースを賑わせた不退去罪といえば、大学試験でマスク注意された男が逆ギレしトイレに籠城した事件ではないのか。
例文3.これだけ迷惑客が増えると、調子に乗って店員にクレームを付けたら今後は不退去罪となる事案も増えていくだろう。
例文4.ラリッた二重人格者が自分自身を不退去罪で訴えたら、警察はどのように扱うのか興味がある。
例文5.連日残業続きで疲れがマックスとなったある日、駅トイレの個室で寝入ってしまい目が覚めて思わず不退去罪になるのではと焦ったが、ほんの10分程度で安心したがスマホには呼び出しの連絡が何件も入っていて、再び職場に戻った。
「不退去罪」についての例文となります。
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不退去罪の会話例
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さっきまで東京駅に居たんだけど、撮り鉄の熱量や執念は恐ろしいよ。殺気立っていて罵声も凄いんだよ。
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電車の写真撮りたい集団だよね。ニュースで迷惑って報道されても、一向に減らないね。
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あの迷惑行為って、不退去罪で何とかならないの?
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それは思うわよね。ビラ配りやトイレに籠ると不退去罪で逮捕されるけど、一般の利用者からすると撮り鉄こそ大迷惑なのに変よね。
「不退去罪」を摂り鉄に適用できないかという会話です。
不退去罪の類義語
「不退去罪」の類義語には、「住居侵入罪」「建造物侵入罪」「侵入犯罪」などの言葉が挙げられます。
不退去罪の対義語
「不退去罪」の対義語はありません。補足として”退去”の対義語は「進入」「侵入」「滞在」、”罪”は「罰」「功」などの言葉が挙げられます。
不退去罪まとめ
「不退去罪」は他人が管理する住宅や建造物などからの退去要求に応じない犯罪行為です。一般的には「住居侵入罪」や「建造物侵入罪」で逮捕されるケースが多いですが、違法なビラ配りや駅トイレの立て籠もりなどが「不退去罪」となります。