慵げ(ものうげ)
「慵げ」とは「気持ちが晴れず仕事などのやる気が起きない憂鬱な状態」です。仕事や学校に家庭生活などで心のストレスを抱えている人は大変多く、まさに現代病と言っても過言ではありませんが、そんな気が滅入る初期状態が「慵げ」だと個人的には思っています。ここできっちり自身の心に向き合い対処できれば、酷くなるのを防げるでしょう。
慵げの意味とは
「慵げ」の意味は以下の通りとなります。
(1)気が進まず億劫。気が塞ぐ。気が重い。
(2)心が晴れ晴れとしない。憂鬱。
(3)仕事や面倒事のやる気が起きない。
(4)品格が厳粛であり憂鬱な事。
(5)「慵い」「物憂げ」「懶げ」も同義。
”慵”は音読みが「ヨウ」「シュウ」「ジュ」、訓読みが「おこた」「ものう」となり、「怠い」「気怠い」「気が進まない」という意味です。そこに形容詞”げ”を付け足して「慵げ」にすると、さらに気持ちを表し「~らしい」「~という気分」として、現在は気が進まないや面倒でやる気が起きない状態になります。同義である「憂鬱」は厳密には「気持ちが塞ぎ晴れない」で、何かしらの理由があっての落ち込みや気が晴れないとなるのに対し、「慵げ」は明確な理由がなくなんとなく心が塞ぎこんでいて気怠い状態です。しかし、日常などでこの微妙な違いを気にして「憂鬱」や「慵げ」を使い分ける人は殆どいないでしょう。また、その多くは「物憂げ」となるので、敢えて「慵げ」と拘るのは本当に少数派になります。
慵げの由来
「慵げ」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては平安時代に成立した日本最古の物語「竹取物語」(9世紀)などに文言が記されています。
慵げの文章・例文
例文1.学生時代のテスト勉強はいつも慵げだったが、社会に出るとそれよりも何倍も憂鬱になる仕事が待っていて、それは誰しも老けてしまい体が錆び付くのも当然である。
例文2.真夏の暑さが和らぎ始めると急に秋を感じて、気持ちも一気に慵げムードになってなぜか無性にモチベーションが上がらない。
例文3.本当に詰まらない芸人が良い人アピールをして子供のような大人から一時的な人気を得ると長期的にはマイナスで、いずれは慵げになって後悔するだろうがその時は既にもう遅く、全国ネットのテレビ局に出演する機会は激減するが自業自得だ。
例文4.邪教に魂を売り、被害者を救済するよりも偽救世主を絶賛しポチのように頭を撫ででもらうスーツを着た暑苦しい中年男を日本では為政者と呼ぶのだから、それはこの国の将来を考えたら慵げになり税金を支払う気が起きない。
例文5.コロナ陽性者か疑いなのか知らんが、炎天下の中で大層に行列を作って診察を診てもらおうとする根性はちょっと異常で、外国人はそんな姿に慵げになるだろうがこれこそアナログ国家である日本流のコロナ対策だ。
「慵げ」を使った例文となります。
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慵げの会話例
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やる気が出ないんだわ…。ダメだ、どうしても出ない。
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このまま営業成績が悪いと、お説教だけで済まないわよ。職場に居辛くなるって。だから頑張ってよ。
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だけど、こんな仕事は人様に言えないよ。騙すように勧誘して、相手の弱っている心に高額商品を売りつけて…。俺の心は悲鳴を上げて、もう慵げな状態なんだよ。
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それ本気なの? その不満が発覚したらあなただけじゃなくて、あなたの親子兄弟に親類まで大変な目に遭うわよ。私達は世界的な団体で働いている幸せ者だっていう自覚があるの?
勧誘という仕事に嫌気が差した男性と、その考えを否定する女性の会話です。
慵げの類義語
「慵げ」の類義語には、「気鬱」「憂愁」「沈鬱」「鬱」「メランコリー」「欝欝たる」「物悲しい」などの言葉が挙げられます。
慵げの対義語
「慵げ」の対義語には、「明朗」「爽快」「清涼」「爽やか」「清清しい」「晴れやか」「痛快」などの言葉が挙げられます。
慵げまとめ
「慵げ」は気が進まない・怠い・辛い・憂鬱という意味です。それぐらい心が弱っていて、何もやる気が起きないような状態になっています。爽快や清々しいといった対義語とは真逆であり、どうにも気分が乗らないのが「慵げ」で、「物憂げ」「懶げ」とも書きます。