俎上の魚(そじょうのうお)
「俎上の魚」とは「絶体絶命の状態をまな板の上の魚と表して、相手が自分の命運を握っている死を待つだけの喩え」です。とかく大ピンチは脱する前提で「九死に一生を得た」や「絶体絶命からの生還」と表現されますが、本来はもう少しのチャンスも残っていなくて完全なる終わりを待つだけなのです。しかし、とんでもないピンチになるほど、意外性や劇的なドラマを望んでみたくなるのでしょう。
俎上の魚の意味とは
「俎上の魚」の意味は以下の通りとなります。
(1)運命を相手に握られている喩え。
(2)相手の思うがままな状態で逃げ場もない絶体絶命に陥る事。
(3)まな板の上の魚が転じて、相手に殺される運命や命の助かる方法がない嘆きの言葉。
(4)「俎上之魚」も同義。
「俎上」は「まな板の上」「調理」「料理」に加えて、「相手に命運を握られている」という「俎上の魚」の略語でもあります。ですから「俎上」=「俎上の魚」となりますが、まな板とも誤解される事もあるので、相手に伝えたい場合なら丁寧に「俎上の魚」とする方が親切です。まな板の魚は最早助かる見込みはゼロで調理をされるのを待っているので、それを人間にも喩えて「もう助からない」や「希望ゼロ」、「自分では運命を変えられない」とった絶体絶命の大ピンチで用います。厳密にはまな板に乗るのは既に終わりな状態ですが、実際に文章などで使う際には僅かな希望がある時も用いられます。また、嘆きや悲観といった終わりを受け入れる覚悟としても使われます。
俎上の魚の由来
「俎上の魚」の由来は中国前漢時代の歴史書「史記」の「項羽紀」となります。日本では平安時代の軍記物語「将門記」などに文言が記されています。
俎上の魚の文章・例文
例文1.姉は学生時代から試験前になると俎上の魚となって慌てるが、流石に自動車の普通免許試験に何度も落ちた時は弟ながらに情けないと思った。
例文2.これだけ支持率が低下しても増税という一手を繰り出すのだから、自分が俎上の魚になりつつあるのがまだ理解できず、大物議員や官僚に操られ策に落ちているとは1ミリも疑わない純粋な人だ。
例文3.W杯は予選で1敗するとどんな強豪国でも俎上の魚となるスリリングさがある。
例文4.人生は俎上の魚となった方が経験値は上がるだろうが、危険に近寄りすぎて終わってしまえばその経験は活かせず無意味になる。
例文5.各国のサッカーが実力伯仲し、まさか南米や欧州がアジアやアフリカのチームによって俎上の魚に陥るとは誰が予測したのか。
「俎上の魚」を使った例文となります。
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俎上の魚の会話例
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昔だけどさ、万引きをしたと店員に誤解されて事務所に連れていかれた事があったんだよ。
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やってなかったんでしょう?
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もちろんだよ。でも高校入試を控えていたから人生終わったーって、同時にこれが冤罪なんだとも思ったけど。
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そんな俎上の魚からどうやって奇跡の生還を果たしたのよ。えっ、続きは明日話すって?
万引き犯に間違われたという状況に陥った事があるという会話内容です。
俎上の魚の類義語
「俎上の魚」の類義語には、「俎上の肉」「俎板の鯉」「薬缶で茹でた蛸のよう」「手も足も出ない」「お手上げ」「ギブアップ」「途方に暮れる」などの言葉が挙げられます。
俎上の魚の対義語
「俎上の魚」の対義語には、「一生」「一命を取り止める」「生き延びる」などの言葉が挙げられます。
俎上の魚まとめ
「俎上の魚」はまな板の上の魚という後は調理されるだけの状態から、もうお終いや運命が尽きたといった喩えです。相手が自分の命運を握っていて、もうどうしようもないと嘆きともなり、そんな絶体絶命を「俎上の魚」と表現します。