濡れ落ち葉(ぬれおちば)
「濡れ落ち葉」とは「妻に依存する定年後の夫を揶揄した平成時代の流行語」です。仕事に真面目な人ほど定年後はやる事がなくなり途方に暮れるそうで、確かに仕事が忙しいと友人付き合いや趣味などもなくなるので理解ができますよね。すると妻しか話し相手がいないので、段々と依存するようになり買い物なども常に一緒で行動をするそうです。妻は一人になりたいが夫が付いてきてしまうので、そんな姿を「濡れ落ち葉」と言い表しています。
濡れ落ち葉の意味とは
「濡れ落ち葉」の意味は以下の通りとなります。
(1)雨などで濡れて落ちた葉は地面に貼り付くと取れない事や取り辛い事。
(2)地面から離れない濡れた落ち葉が転じて、定年退職した男性の中で趣味も仲間もなく妻だけが頼りになって離れない状態を揶揄する言葉。
(3)定年退職した夫を会社という大きな木から落ちて妻に依存する状態の「濡れ落ち葉」以外にも、「濡れ落ち葉症候群」や「濡れ落ち葉族」とも呼び平成元年(1989年)に流行った流行語の一つ。
「濡れ落ち葉」は文字通りに「木から落ちた濡れた葉」という意味もありますが、一般的には平成元年に流行語にもなった妻に依存するように離れない状態の定年退職した夫の姿を皮肉る言葉です。濡れ落ちた葉が地面や道路につくと剥がれ難いので、そんな状態をまるで仕事を定年退職し暇になった夫の姿のようだと言い表しています。仕事一筋だった人ほど、趣味や仲間もいないのでやる事がなく、妻が買い物や病院などに行こうとすると自分もとまるで子供のように付いてくるのです。そんな日々に妻の方がまいってしまい一人の時間が欲しいと、夫の事を「濡れ落ち葉」と例えて使います。さらに深堀りすると「濡れ落ち葉」はゴミであり邪魔な存在ともなるので、普通の家庭ならそこまで邪見な意味は含まれていませんが、本当に妻の方が夫を嫌うとそんな意味も匂わせて「濡れ落ち葉」と使う場合もあります。
濡れ落ち葉の由来
「濡れ落ち葉」は評論家・樋口恵子さんが伝聞で聞いたものとして紹介したのが忽ち世間に浸透し、平成元年(1989年)の流行語大賞新語部門・表現賞を受賞しました。
濡れ落ち葉の文章・例文
例文1.令和になって少子化や独身者が社会問題になり、もう濡れ落ち葉と揶揄される男性が実は希少な勝ち組になってしまった。
例文2.妻が「うちのは濡れ落ち葉で…」と亭主を馬鹿にするが、それを聞かされる若いホストもよく意味が分からずに終始相槌だけで、閉店後に同僚と金払いが良いだけの昭和おばさんと大笑いする。
例文3.保険金たっぷりな濡れ落ち葉の夫が車の運転を誤り交通事故を起こし帰らぬ人となり、思わぬ臨時収入に妻は「ゴミから宝の山が出現した」と大喜びをした。
例文4.濡れ落ち葉症候群の夫が亡くなり、そこで初めて人と一緒にいる有難みや一人での食事の寂しさを感じ、これはたまらんと急いでスマホに出会い系アプリを登録して新しい旦那候補を探す事にしたが、亡き夫の偉大さが日増しに募りなぜ優しく出来なかったのかと悔やんでいる。
例文5.会社時代は営業でバリバリとラガーマンのように働いていたのに、定年後は毎日ゴロゴロとニートの息子以上に家に籠りっきりで、外に連れ出すと濡れ落ち葉なのかピッタリと私から離れないが、それが夫婦のあるべき最後の姿なんだと達観してきた。
「濡れ落ち葉」を使った例文となります。
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濡れ落ち葉の会話例
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俺って、趣味が全くないんだよ。友達も居ないし、これってヤバいよね。
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休みの日は何しているんですか?
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昼過ぎまで寝て、スーパーへ買い物に行って、それから洗濯や掃除をしてネットしたら終わりかな…。
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それって、結婚したら完全に濡れ落ち葉になりますよね。あっ、結婚相手を探せないから濡れ落ち葉にならないか。
仕事以外はやる事がないという愚痴を同僚にする会話です。
濡れ落ち葉の類義語
「濡れ落ち葉」の類義語には「ワシも族」「粗大ゴミ」「産業廃棄物」「お地蔵さん」「定年ジャマ夫」「定年夫」「定年蓑虫夫」などの言葉が挙げられます。
濡れ落ち葉の対義語
「濡れ落ち葉」の対義語はありませんが、強いて挙げるなら中年夫婦を解消する「定年離婚」「団塊離婚」「熟年離婚」「老いらく離婚」などがあります。
濡れ落ち葉まとめ
定年後は仕事も趣味も友達もいない状態で妻しか相手がいないので、買い物などどこにも付いてくる事が「濡れ落ち葉」です。濡れた葉はくっつくと離れない事から呼ばれるようになり、それが大勢の主婦から共感されて平成元年の流行語になりました。