ゲシュタルト崩壊(げしゅたるとほうかい)
「ゲシュタルト崩壊」とは「疲労やストレスで全体を認知する能力が低下する現象」です。精神分析や心理学とは専門用語も多く難しい印象を抱きがちですが、肝心の伝えたい中身は意外にもシンプルな事も多く、今回の「ゲシュタルト崩壊」もそんなところがあります。要するに疲れやストレスがあると物事を忘れたり曖昧に覚えてしまう現象で、それこそ「ゲシュタルト崩壊」の解説そのものがその状況をもたらす皮肉もあります。
この記事の目次
ゲシュタルト崩壊の意味とは
「ゲシュタルト崩壊」の意味は以下の通りとなります。
(1)ドイツ語で「形」「形態」を意味する「ゲシュタルト」(gestalt)の能力が低下する事で、全体性が失われ各部分が切り離されたように認識する現象を指す心理学用語。
(2)ドイツの心理学者・ウェルトハイマーらが提唱した「ゲシュタルト心理学」の基本概念「知覚現象」で、全体のまとまりを認識するのが難しくなり個々のバラバラに切り離して認識する事。
”ゲシュタルト”はドイツ語「gestalt」の直訳「形」「形態」「姿形」、”崩壊”は「崩れて壊れる」「素粒子が他の素粒子に変化する」で、文字通り取れば「形ある物が壊れる事」が「ゲシュタルト崩壊」ですが、通常は心理学用語となります。この心理学用語「ゲシュタルト崩壊」は簡単に言えば「全体の形である『ゲシュタルト』が崩壊する現象」となり、例えばある景色をずっと眺めていると段々と最初の印象が薄れてしまったり、同じ曲を何度も聴いていると次第にメロディが単調となり退屈に感じるといった事です。要するにどんな事でも、何度も接する慣れや退屈や疲労が一定レベルを上回るとまるで拒否反応のようになって、最終的には記憶などがあやふやとなり当初覚えていた事も忘れてしまうのです。ですから景色ならあれだけ見ていても大事なポイントを何一つ覚えていなかったり、素晴らしいメロディも他の曲などと区別がつかない認識の衰えが出てしまいます。これは年齢に関係ないので要因としては脳のエラーで、簡単すぎるものや或いは反対に複雑すぎるもの、又は時間拘束が長い場合などに人は自らの防御反応として「ゲシュタルト崩壊」を起こすそうです。よって、現在は集中力の低下によるものとされ、適度な休憩などでストレス発散を挟めば再び脳は正しく記憶するようになり、健康などを損なう特別大きな問題ではないと言われています。
ゲシュタルト崩壊の由来
「ゲシュタルト崩壊」は前述したようにドイツの心理学者・ウェルトハイマーらが提唱した「認知現象」です。ウェルトハイマーは1922年に論文「実験心理学におけるゲシュタルト心理学的方法」を発表し、その後1947年にC・ファウストによって視覚や認知の障害「失認」の一症例となりました。
ゲシュタルト崩壊の文章・例文
例文1.ずっとスマホを見ていると、段々ゲシュタルト崩壊を起こしていくのが感じるが自分からスマホを止める事ができず、こうして本格的に衰えて孤独死を迎えるのだと既に諦めている。
例文2.小学校低学年で習うような簡単な漢字ですら、数秒見ただけで拒否反応からゲシュタルト崩壊となる自分が情けない。
例文3.毎日筋トレや散歩をしているのはゲシュタルト崩壊をなんとか防ぎたいからだ。
例文4.こうして世界で戦争が起きるのは、国のトップを務める偉い人たちがキャパオーバーなゲシュタルト崩壊をしている風にしか見えない。
例文5.昔の心理学者が提唱したゲシュタルト崩壊をデジタル世界で生きるZ世代が有難い聖典のように聞き入るのだから、それは未来には絶望が大きく待ち構えているだろう。
「ゲシュタルト崩壊」を使った例文となります。
- [adsmiddle_left]
- [adsmiddle_right]
ゲシュタルト崩壊の会話例
-
最近は年の所為か、漢字も覚えられないし状況判断も遅れて…、もう嫌になるよ。
-
あなた、それってゲシュタルト崩壊じゃないの?
-
その怪しいアイドルグループの曲タイトルのようなゲシュタルト崩壊とは何なの?
-
ほら、精神分析や心理分析で言うじゃないの。そのゲシュタルト崩壊よ。
「ゲシュタルト崩壊」についての会話内容です。
ゲシュタルト崩壊の類義語
「ゲシュタルト崩壊」の類義語には「ゲシュタルト心理学」「ゲシュタルトの法則」「形態心理学」「飽きる」「辟易」「紋切り型」「食傷」「恒常」「マンネリ」「マンネリズム」「ワンパターン」などの言葉が挙げられます。
ゲシュタルト崩壊の対義語
「ゲシュタルト崩壊」の対義語には全体機能「ホーリズム」や「アドラー心理学(全体論)」、他にも「凝る」「専念」「没頭」「集中」などの言葉が挙げられます。
ゲシュタルト崩壊まとめ
退屈や疲労などの要因によって物事の印象や記憶が弱まり、まるで全体性を見失い認識能力が低下するのが「ゲシュタルト崩壊」です。これは「ゲシュタルト心理学」で提唱された人に起こる現象で、漢字を長い間眺めていたらバラバラな文字として認識して全体では把握できないといったものですが、疲労や苦痛などによる自己防御の一時的なもので大きな問題ではないとされています。