幼気(いたいけ)
難読語というと難しい漢字を使った言葉が思い浮かびますが、意外と簡単な漢字でも読めない言葉が沢山あるものです。今回の「幼気」も両方とても簡単な漢字ですが、意外と読めない、または曖昧に理解している人が多いのではないでしょうか。
幼気の意味とは
「幼気」の意味は
・子供などがいじらしい様子
・幼くかわいい様子
・小さくてかわいい様子
です。さらっと説明しましたがこの「幼気」、日本語特有の面白さがまだまだあるので早速詳しく見ていきましょう。
まず「幼気」の読みは「おさなげ」でしょうか?確かに「おさなげ」という言葉はあるのですが、「幼げ」が正しい表記です。では「幼気」は何と読むかというと「いたいけ」と読みます。面白いですね。更に「幼気ない」となるとどんな意味となるでしょうか?「ない」と付くので否定の意味に感じますが、真逆で「普通の状態を遥かに超えていじらしい程かわいい!」という意味になります。「幼気ない」のないは否定ではなく、「切ない」などの「ない」と同様の接尾語で「程度が甚だしい」という意味なのです。日本語は奥が深くて面白いですね。
幼気の由来
なぜ「幼気」と書いて「いたいけ」と読むのでしょうか?
この答えは語源を紐解くと見えてきます。
「幼気」は「痛き気(いたきけ)」という言葉の音が変化して生まれた言葉です。「痛き気」の「気」は様子を表していて、「痛き気」は「見ていると心が痛くなってしまうほど愛らしい様子」を表す言葉でした。「いたきけ」が長い時を経て「いたいけ」へ音が変化する際に、主に幼い子どもの様子を表す言葉だった為に漢字も「痛き」から「幼」へと変化したと考えられています。
幼気の文章・例文
例文1.今日テレビで見た貧困地域で必死に暮らす幼気な子供の姿に心打たれた
例文2. 大会に向けて雨の日も毎日練習する幼気ない少年達を全力でサポートしようと思う
例文3.産まれたばかりの目に入れても痛くない幼気な我が子は何時間でも眺めていることが出来る
例文4.母の不在時に兄弟の世話を一生懸命する幼気ない長女を思わず抱きしめた
例文5. 泣き言一つ言わず病気と戦う幼気な少女の元へプレゼントを持ってお見舞いに行った
幼い子どもが苦しみや困難に耐えるいじらしい様子を含むことが多いですが、単に「可愛らしい」という意味で使うこともあります。
- [adsmiddle_left]
- [adsmiddle_right]
幼気の会話例
-
外国から転校してきた3年生の子の様子はどうですか?
-
彼女ほんの少ししか日本語が話せないのですが、毎日笑顔で会う人会う人に日本語で挨拶して一生懸命クラスに溶け込もうとしているんです。
-
それは幼気ですね。友達は出来たようですか?
-
はい。クラスメイト達も幼気ない姿に感動したようで、沢山の友達が出来て一緒に遊んだり色々なことを教えたりしているので安心しました。
小さな子どもが必死に頑張る姿はとても愛おしいと同時に少し心が痛むものですよね。こう考えると昔の人が「痛い気」と表現したことが深く理解できます。
幼気の類義語
類語はいじらしさを含む場合は「可憐」。含まない場合は「あどけない」「愛らしい」「かわいい」などがあります。
幼気まとめ
小説などで目にすることも少なくない「幼気」という言葉。今までは頭の中で読み飛ばしていたり、「おさなげ」と読んでいた方もこれからは正しく読むことが出来ますね。もしまた読み方に迷ったら是非語源の「痛き気」を思い出してみてください。そうすることで登場人物の姿に心の痛みを感じながら可愛い様を想像し、今までより一層小説の世界が楽しめるのではないでしょうか?