功利主義(こうりしゅぎ)
”○○主義”という言葉の中でも、かなり難しい分類に属するのは「功利主義」です。正確に理解し、その意味を説明できる人は本当に数少ない一部の人だけと断言できる程、稚拙な表現ですが難しい言葉です。要約するなら、多くの人と幸福を共有し苦痛を出来るだけ少なくする、という考えや思想が「功利主義」となります。しかし、これだけでは漠然としているので、もう少し掘り下げて例文や由来などを交えて解説させて頂きます。
功利主義の意味とは
「功利」には幸福と利益、功名と利益と言った意味が前提としてあります。「功利主義」(こうりしゅぎ)は実用主義(帰結主義)やユーティリタリアニズム(utilitarianism)とも言われ、近代のイギリスで提唱された倫理思想となります。「行為や制度の社会的な望ましさは、結果の効果(功利)で決定される」という考えが前提となります。これをかみ砕くと、前記した「皆が幸福になる様に、苦痛や苦難は出来るだけ少なくする」という意味になります。しかし、「功利主義」はある種、民主主義を否定する考えでもあり、大多数が間違った考えでもそれが幸福なら尊重すべきという思想になります。云わば、全体主義や社会主義を助長する考えとなり、それが結果的には世にあまり浸透しない要因とされています。
功利主義の由来
功利主義を唱える学者は多く存在するが、創始者とされるのがイギリスの哲学者・ジェレミ・ベンサム氏です。19世紀前半に功利主義の原理を発表し、社会に大きな問題提起を促した。”最大多数個人の最大幸福こそを尊重すべき”と言う考えは、今でも重要な社会問題の一つとして、度々議論の対象となっている。
功利主義の文章・例文
例文1.功利主義を突き詰めると、明るい未来が待っているのか?
例文2.ジェームズ・ミルの功利主義も有名な一つである!
例文3.功利主義は一国内で留めるだけなら問題ないが、今のグローバル社会では人種間の根深い問題を考慮していない。
例文4.功利主義は善良な人々のみという大前提もある気がする!
例文5.功利主義を大前提にする考えも、受け入れなければならない
あまり使われない言葉でもあるので、功利主義を使った例文などは上手いものが少ないのが実情です。
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功利主義の会話例
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最近は部活をサボって、その分勉強しているから成績が上がった!
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部活をサボってそのぶん勉強するだなんてまるで功利主義みたいじゃない?
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何で? だって、同じ部活の友達も皆サボっているよ。その分、勉強した方が賢い生き方だと思う!
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確かに成績アップは良い事だし、あなたがそれで良ければうるさく注意できないけど、お母さんはあまり嬉しくないなー!
部活をサボり成績アップしたと喜ぶ息子と、それを本心から喜べない母親の会話内容となります。部活仲間も同じようにサボり成績が上がっているので、息子を注意するのも違うし、勉強を一生懸命やっているのも事実。しかし、要領よい息子の方法が、「功利主義」のようで懸念がある母の感情です。
功利主義の類義語
「功利主義」の類義語には、「利益第一主義」「現実主義」「商業主義」などの言葉が挙げられます。
功利主義まとめ
幸福を最優先すべきという理論が「功利主義」で、当初は社会全体を考える趣が強かったですが、今は個人個人を合わせた全体の優先や利益を求める原理となりつつあります。もちろん、ベンサムが提案した原案のままの「功利主義」を主張する声も根強く残りますが、一方では新しく解釈した一人が幸福を追求したり、幸せになるのも、突き詰めると全体の利益や幸福になるという主張です。