走馬灯(そうまとう)
ドラマや映画などを観ていて、死を目前に控えた主人公や逮捕直前の犯人などが「走馬灯」(そうまとう、又はそうばとう)を使ったセリフを吐く事がよくあります。その影響もあり、何となく意味を理解しているつもりになっているのが「走馬灯」です。
では、言葉として由来や意味などを理解しているかと問われると、自信を持てない人も多いのではないでしょうか? 今回はそんな理解しているつもりで、実はあまり分かっていない「走馬灯」を徹底分析していきます。
走馬灯の意味とは
「走馬灯」は「走馬燈」と表記する事もある、日本の伝統的な照明器具である「灯籠」(とうろう)の一種です。中の影絵が回転しながら写るように細工され、別名「回り灯篭」とも呼ばれています。
影絵という事から、主に子供達を喜ばせる夏の玩具的な扱いでしたが、時代の変化と共に現在は「走馬灯」と聞いてこの様に意識する人は少ないです。それに代わって、影絵が回転する様子がまるで自身の人生を表しているように見える事から、過去の懐かしい思い出や良かった記憶などを感慨深く表現する際に「走馬灯」という言葉が使われる様になりました。
走馬灯の由来
照明器具としての「走馬灯」の発祥は中国で、それが江戸時代初期に日本に入り、夏の納涼玩具として各地に広まっていきました。現在は照明器具として使う事は少ないが、寺院などには置かれています。またお盆の際には、「走馬灯」を使う風習が残っている地域も多くあります。因みに、大局将棋には「走馬」という駒があるが、「走馬灯」との直接的な関係はないとされます。
走馬灯の文章・例文
例文1.大病を患い、人生を振り返ると走馬灯の様に思える。
例文2.別れた彼女を思い出すと、良かった事が走馬灯のように駆け巡る。
例文3.走馬灯の如しとは、まさに卒業を控えた現在の正直な気持ちだ!
例文4.走馬灯のように離婚して離れ離れになった息子の顔が浮かぶ
例文5.父の命日には、走馬灯のように様々な記憶が浮かんでは消える。
「走馬灯」の意味から、どうしても悲しい使い方が多くなってしまいます。個人的には、本来は子供を喜ばす影絵なのですから、もう少しポジティブな意味合いで使うべきだと感じますが、そうなると誤解を与える可能性も高くなるので、悲哀めいた表現が似合う言葉となっています。
- [adsmiddle_left]
- [adsmiddle_right]
走馬灯の会話例
-
もう少しで大学卒業だねー
-
本当に4年間があっという間だったなー
-
まるで走馬灯の如しだったよねー
-
本当、入学した時は長いと思ったのに、過ぎるとあっという間だから、走馬灯なんだよね!
大学卒業を控えた友人同士の会話内容です。感慨深く思い出に浸り、双方が「走馬灯」という言葉を使っています。
走馬灯の類義語
「走馬灯」の類義語には、「一場春夢」「邯鄲之夢」「朝盈夕虚」などの言葉が挙げられます。
走馬灯まとめ
「走馬灯」は本来は子供向けの影絵の照明器具だったが、時代の変化によって、過去の記憶や思い出が脳裏を駆け巡る際の表現として使われる言葉になりました。これから前に進む、新しいチャレンジという意味よりも、人生の晩年や死が目前に差し迫った際などに使われる事が多く、そこには現代もお盆の際に照明として「走馬灯」が置かれる習慣が残っているからです。