法治国家(ほうちこっか)
国家を治めて運営していくには、何らかの拠り所や決め事が必要です。たとえば、専制政治や独裁政治といった人治国家は、特別な血筋やカリスマ的な支配者・組織を拠り所としています。国を運営するルールは、時の支配者次第であり、良くも悪くも統治者の判断が国家の行く末を左右するのです。
一方で、国家の運営を個人の判断に任せるのではなく、定めた法律を根拠とし、それに従うという形態があります。これを法治国家といい、国家という共同体を法の概念で支配し、運営から個人性を排除したものです。
法治国家の意味とは
法治国家はその名が示す通り、法律が支配し、法律により治められ、運営されていく国家形態のことをいいます。定められた法律の決まりからは、いかなる者も逃れることができず、権力に左右されない国家運営を可能とします。
英語の表記だと「country with a constitutional government」となります。
法治国家の由来
所説ありますが、一般的には19世紀のドイツで発展した思想とされています。法律による支配を普及することにより、社会構造が生み出してきた理不尽な階級や格差による対立を解消。国民の権利や自由を確保し、安定した国家運営を目指すものとして考えだされた概念となります。
法治国家の文章・例文
例文1.法治国家の興亡を紐解く歴史書がほしい。
例文2.規則を厳格に守らなければいけないなんて、まるで法治国家のようだ。
例文3.法治国家の反語は人治国家といいます。
例文4.歴史を振り返ると分かるが、過去の法治国家には大きな欠点があった。
例文5.法治国家の概念は、現代にも引き継がれているのです。
法治国家は一見すると理想的な国家像に写るかもしれませんが、当時は運用面で大きな欠点を抱えていました。法律を重視するあまり思想が形骸化していき、合法ならば悪法・悪政であっても適法となっていったのです。排除したはずの人治主義の復活であり、合法の名の下に民意の反映が不十分となっていきました。
法治国家の類義語
法治国家の類義語は存在しませんが、法律に対する思想により、2タイプに分類することができます。1つは形式的法治主義といい、合法的に作られた法律ならば従うべしという考え方。1つは実質的法治主義といい、法律は内容に正当性があり、人権や社会的習慣などに適うべきものという考え方。ざっくりとした説明ですが、同じ法治国家といえども、運用方針によって違いがあるのです。
法治国家まとめ
国家の根幹を法律により規定し、法律に従い運営されていく法治国家の思想は、現代においても息づいています。時代の流れの中で、より洗練された思想として磨かれ、今日の民主主義を支える礎となっているのです。