濡れ手で粟(ぬれてであわ)
「へへ、ラッキー」という意味を表すことわざはいくつかあります。「濡れ手で粟」はそんなことわざの一つです。
ただしこのことわざ、よくよく見てみると、面白いことが分かってきます。日本語の妙というか、ことわざの意図が見えてくるのです。
この記事では「濡れ手で粟」ということわざの意味について見ていきます。
濡れ手で粟の意味とは
濡れ手で粟。
このことわざの意味は「苦労せずに利益を得ること」です。
粟というのはイネ科の雑穀。日本では昔お米の代わりに食べられていました。小粒で軽いので、濡れた手でつかむと、手のひらにつかんだ以上に濡れた部分にたくさん粟が付いてくる、という状況から、「骨を折らず利益を得る」という意味になりました。
ちなみに「濡れ手で泡」というのは間違いです。いかにもことわざという字面ですが、これでは「泡を濡れた手でつかむ」=「何も手に残らない」となり、まったく逆の意味になってしまいます。言い換えはできないので気を付けましょう。
濡れ手で粟の由来
この言葉の由来は分かっていませんが、助詞に注目。濡れ手「に」粟ではなく、濡れ手「で」粟という部分です。
これはどういう意味かというと、「濡れ手でつかめばたくさん泡がつかめることを分かっている」ということ。つまり、意図して濡れ手でつかんでいるということです。
たまたま利益を得た、というわけではなく、最初から楽して儲けようとしていた魂胆が、このことわざの背後に見えてきますね。
濡れ手で粟の文章・例文
例文1.友人のノートを見せてもらって100点を取った。濡れ手で粟だ
例文2.なんでも部長の意見に便乗して、濡れ手で粟を狙っているのが見え見えだ
例文3.お金持ちと結婚したら豪勢な土地が付いてきた。濡れ手で粟だ
例文4.あいつはいつも濡れ手で粟で飄々とうまくやってきた
例文5.あれが稼げる、これが稼げるといっても、努力は必要だ。濡れ手で粟というわけにはいくまい
上記のように使うことができます。ラッキーな一面と、
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濡れ手で粟の会話例
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この前、友達が新しくゲーム買ったから、遊びに行ってもいい?
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ええ、いいわよ。
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あ、あとそれからさ、その子んちで夕飯食べてきてもいい?あそこのお母さん俺に優しいから、多分夕飯も誘ってくれると思うんだよなー。
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濡れ手で粟をつかもうとしないの。ゲームだけやって帰ってきなさい。
友達の家のご飯を狙う息子を、母親がたしなめています。今時、息子の友達に夕飯を食べさせるなんてことがあるかはわかりませんが、新作ゲームだけでなく夕飯もせしめようとするなんてちゃっかりしていますね。
濡れ手で粟の類義語
濡れ手で粟の類義語を見てみましょう。近い言葉は「棚から牡丹餅」「漁夫の利」などでしょうか。「棚から牡丹餅」は苦労せずに良い物を得ること、「漁夫の利」は当事者同士の争いの横からひょいと利益を取っていくことを指します。
濡れ手で粟まとめ
「濡れ手で粟」ということわざについてまとめてみました。
細かい日本語の揺れを深めることによって、その意図まで見えてくる良い例ですね。