忘却(ぼうきゃく)
これと全く同じ意味を持つ言葉として「忘れる」というものがあります。ただ、忘却という言葉には忘れることに加え「却」という文字が付いていることから、忘れるという言葉をより強めた扱いができる言葉と言えるものになっています。
今回はそんな時間経過による記憶の喪失といった状態変化を表すような場面においても用いられるこの「忘却」という言葉について、掘り下げをしたいと思います。
忘却の意味
忘却とは、「忘却する」といった形で表現することによって「忘れる」という言葉とほとんど同じ意味を持つ言葉になります。この言葉をさらに強めた定型句として「忘却の彼方へ消え去る」「忘却の彼方になる」といったものも存在しており、いずれも詩的な言葉であることからこの言葉は小説などの創作物によく用いられる表現になります。美しい日本語とも言える日本語であり、今後も紡いでいきたい文化であり、言葉ですね。
忘却の由来
この忘却という言葉が最初に使われたのは古いところでは「文華秀麗集(ぶんかしゅうれいしゅう)」という平安の時代、前期頃818年に作られたとされている漢詩集の中にて「既能忘却蒼波遠一、朝夕欲レ巣画梁辺」という形で文脈の中に同じような意味を持つ言葉として組み込まれたことであるとされています。
忘却の文章・例文
例文1.大切な思い出を忘却して、美しい想い出にする
例文2.カバンを無くした。中に何が入っていたかも忘却した
例文3.頭を打って現時刻までの6時間の記憶を忘却してしまった
例文4.忘却の空という歌が以前大ヒットした
例文5.人は本当に忘却したいことは忘却できない、皮肉な生き物だ。
忘却という言葉は「忘れる」という言葉が詩的になったものであるため、日常会話にも非常に含めやすい言葉です。
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忘却の会話例
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いつもうちの会社に来ている取引先の方、名前なんて言いましたっけ?
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佐藤さん、そんな大切なこと忘却してしまったんですか?ドブロクさんですよ。
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ああそうでした。少し特徴的な名前だったため、すみませんつい。
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私は逆に特徴的な名前だったので、むしろ印象深くて覚えちゃいました。
どちらかというとやはり忘却という言葉は創作物の中に含めてこそ違和感のない言葉になると言えるかもしれませんね。
忘却の類義語
忘却の類義語として「失念(しつねん)」や「ど忘れ(どわすれ)」といった言葉が挙げられます。
忘却まとめ
誰しも忘却したいことの1つや2つ間違いなく抱えているものと思いますが、人という生き物は忘れたいことほどより強く印象に残り、忘れることができないものになってしまう皮肉さを抱えているものです。
ただ記憶は蓄積量が増えるほどに過去のものや些細なものは端へ端へ追いやられていく機能を持っているものでもあるため、「忘却の彼方へ消し去りたい」ほど嫌な記憶がある方ほど今以上に忙しい毎日を送る意識を持ってみると、比較的早くその思い出とお別れする、忘却することができるものかもしれませんよ。